建長七年(一二五五)二月日の二通の出雲国司庁宣(千家家文書)では「伊弉冊社」として、出雲国衙の管轄下にある出雲国惣社(現六所神社)・
神魂社の神田・経田などは国衙在庁官人が領有していたが、建長年間にはそれらすべてが杵築大社の国造出雲義孝の支配下に組込まれた。建長七年二月国衙在庁官人と思われる高貞・義元が領有していた伊弉冊社の料田七段半および灯油田一町は、訴訟の結果二人が
南北朝期に出雲国造家が千家と北島の両家に分裂した際、杵築大社に関する運営については神事を含めて千家家が優位に立っていた(康永三年六月五日「千家孝宗・北島貞孝和与状」千家家文書)。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
島根県松江市大庭(おおば)町に鎮座。大庭大宮ともいう。祭神は伊弉冉(いざなみ)大神、伊弉諾(いざなぎ)大神。神社名の「かもす」は「神坐(かみま)す」の転訛(てんか)。古代、当地は出雲国造(いずものくにのみやつこ)の根拠地で、その邸内に祀(まつ)られていた祭場が、国造家が杵築(きづき)(出雲市大社町)の地に移ったのちも、そのまま旧地に祀られ、独立の神社となったものと伝えるが、創建については明らかでない。旧県社。本殿は切妻造で、大社造の最古の遺構として国宝に指定されている。末社貴布禰(きふね)・稲荷(いなり)両神社の本殿は二間社流造で、国重要文化財。例大祭10月18日。
[菟田俊彦]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報
…大社造は神明造とともに神社建築のもっとも古い形式であって,出雲地方を中心におこなわれた。大社造のもっとも古い遺構は,1583年(天正11)造替の神魂(かもす)神社本殿(国宝,松江市大庭町)である。【宮沢 智士】。…
…この形式を大社造といい(図2),島根県にのみ分布する特異な形式である。大社造の古い遺構として1583年(天正11)の同県神魂(かもす)神社本殿がある。
[住吉造]
大阪の住吉大社本殿の形式を住吉造という(図3)。…
…出雲国造(いずものくにのみやつこ)家では古来新国造の就任にあたって必ず火継神事を行った。元来,これは意宇(おう)郡の熊野大社で行われたが,中世以降,もと国造の居館近くの斎場であった神魂(かもす)神社(松江市大庭)で行われるようになった。国造家の始祖天穂日(あめのほひ)命以来とされる古式神事で,まず神伝の重宝である火燧臼と火燧杵を用いて神火を鑽(き)り出し,この浄火をもって斎食を炊(かし)ぎ,熊野大神,大国主神をはじめ国内の諸神に供し,新国造みずからも食し,初めてその職を襲ぐことができる。…
※「神魂神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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