能のワキ方の流派名。流祖の福王神右衛門盛忠(但馬守,遅斎。1521-1606)は播磨国三木の神職。観世座ワキ方の棟梁観世小次郎元頼らに学び,織田信長に召し出され観世のワキ方になったという。以後,代々観世の座付として活躍。5世茂兵衛盛親(1609-73)は観世黒雪の弟服部栖元の子で,4世盛厚に後嗣がなく(娶らなかった),中絶していた福王家を再興した。盛親は晩年,京に退隠して服部宗巴と号して素謡(すうたい)の教授を専門とし,以後,福王は京都の素謡界に地歩を固めた。7世盛信(1660-1721)は信望なく,多くの門弟を破門したため岩井,井上,林らの高弟は観世流に移り,続いて高弟の薗,浅野も観世に転じた。この五家を五軒家(ごけんや)といい,のち〈京観世〉と呼ばれる。
福王歴代では,謡曲を新作した2世盛義(1560-1625)と8世盛有(長束仁左衛門。1663-1738),英(はなぶさ)一蝶の門人で画号を雪岑(せつしん)と称した9世盛勝(1701-85)などが著名。1898年14世繁十郎盛哲の死後宗家は絶えたが,東京の花咲右衛門,野島信,京阪の江崎金治郎,中村弥三郎らが芸系を守り,1938年中村弥三郎の子が再興して15世福王茂十郎(1909-76)を名のる。現宗家は茂十郎の子の輝幸(1943- )で,84年16世福王茂十郎を襲名した。能楽協会に登録された役者は約20余名,ほとんど関西に住み,江崎正左衛門・金治郎父子らが活躍。東京には野島信の遺弟がいる。謡曲文も謡い方も観世流とほとんど変わらない。
執筆者:西野 春雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
※「福王流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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