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福祉社会学 ふくししゃかいがくwelfare sociology

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

福祉社会学
ふくししゃかいがく
welfare sociology

社会福祉に関する社会学的な研究の体系。日本では 1960年代のなかばから提唱されるようになった学問分野で,その対象,方法,内容などについてはまだ研究者間に統一した見解はみられないが,福祉が保たれているか否かは生活の状況と水準によってはかられるとして,「生活」をその焦点と定める傾向が支配的である。福祉社会学の第1の中心的課題は生活構造論であり,生活水準生活時間,生活空間,生活関係などから成り立つ。また第2の中心的課題は生活構造とそれを規定する社会構造との関連を究明することであり,生活機会の研究であるが,この分野は非常に研究が遅れている。第3として,福祉を実現する主体に注目し,社会福祉運動や社会福祉労働者の活動と認識を重視する研究者もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

福祉社会学
ふくししゃかいがく
welfare sociology

社会福祉の社会学的研究をいう。ここで社会福祉というのは、現代社会の構造的所産である社会制度の一つで、生活問題の予防・解決を目ざすものである。それは、一般にいわれる社会保障をその主要な構成部分として含んでいるが、そのほかに、成立事情や社会的機能などで社会保障と一部あるいは全部が共通する諸制度をも含んでいる。
 福祉社会学の研究対象を、社会学の主要な七つの概念の区分で次のように整理した例がある。(1)社会的行為 福祉政策、福祉運動、福祉労働、福祉計画、生活問題、(2)社会制度 社会福祉、社会保障、社会保険、児童手当、公的扶助、社会福祉事業、その他生活問題に対応する制度、(3)相互作用 扶養、社会福祉のネットワーク、福祉広報、(4)集団・組織 福祉国家、福祉官僚制、福祉機関、福祉施設、(5)パーソナリティー 福祉労働者、福祉官僚、生活問題の担い手、(6)文化 福祉諸法、福祉思想、生存権思想、福祉理論、(7)全体社会 現代社会、社会構造、社会変動、社会統合、階級闘争。
 福祉社会学の研究方法は、よりよい成果がねらわれるためには次の諸点への留意が必要である。(1)社会学と歴史学、経済学、法学などとの学際的研究の必要、(2)行政資料の徹底した収集、(3)生活問題調査における抵抗の回避・排除、(4)既存の社会学の概念と理論の援用、(5)既存の社会学理論を継承・統合・発展させて新しい理論を形成すること、(6)資料の論理的読解。これらを通じて、社会福祉の全体と諸部分との歴史的個性および一般的性格が認識される。
 福祉社会学の研究は、ほかの特殊社会学の場合と同じく、純粋社会学と応用社会学に分かれる。前者は対象を価値意識から自由になって、つまり、あるがままに客観的に理解しようとする研究である。後者は一定の価値意識のもとに対象の理想状態を設定して、現状の改善方法、それに伴う副次効果などを認識しようとする研究である。[副田義也]
『副田義也著『福祉社会学の課題と方法』(社会保障研究所編『社会保障研究の課題』所収・1986・東京大学出版会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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