科学技術庁(読み)かがくぎじゅつちょう

精選版 日本国語大辞典 「科学技術庁」の意味・読み・例文・類語

かがくぎじゅつ‐ちょう クヮガクギジュツチャウ【科学技術庁】

〘名〙 科学技術に関する行政を総合的に推進するために、昭和三一年(一九五六総理府の外局として設置された国の行政機関。平成一三年(二〇〇一文部省と統合され文部科学省となった。

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デジタル大辞泉 「科学技術庁」の意味・読み・例文・類語

かがくぎじゅつ‐ちょう〔クワガクギジユツチヤウ〕【科学技術庁】

科学技術の振興を図り、科学技術に関する行政を総合的に推進して国民経済の発展に寄与することを主たる任務とした国の行政機関。昭和31年(1956)総理府の外局として設置、平成13年(2001)文部省と統合されて文部科学省となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「科学技術庁」の意味・わかりやすい解説

科学技術庁
かがくぎじゅつちょう

1956年(昭和31)、科学技術庁設置法(昭和31年法律第49号)に基づき、総理府の外局として設置された行政機関。2001年(平成13)1月の中央省庁再編で、文部省と統合して文部科学省となった。

 科学技術庁の長は、科学技術庁長官とし、国務大臣があてられた。主たる任務は、科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、科学技術(人文科学のみにかかわるものおよび大学における研究にかかわるものを除く)に関する行政を総合的に推進することにあった。具体的に、科学技術庁が行ってきた事務は、科学技術に関する基本的な政策の企画・立案・推進、関係行政機関の科学技術に関する事務の総合調整、科学技術および原子力利用に関する内外の動向の調査・分析・統計の作成、資源の総合利用のための方策一般、宇宙の利用の推進、核燃料物質および原子炉に関する規制、原子力利用に関する試験研究の助成などであった。

 内部部局として、長官官房のほか、科学技術政策局、科学技術振興局、研究開発局、原子力局、原子力安全局の五つ、付属機関として、航空宇宙技術研究所、金属材料技術研究所、放射線医学総合研究所、防災科学技術研究所、無機材質研究所、科学技術政策研究所および放射線審議会が置かれていた。所管特殊法人としては、日本原子力研究所宇宙開発事業団理化学研究所海洋科学技術センター核燃料サイクル開発機構、科学技術振興事業団があった。また、地方支分部局として水戸原子力事務所が置かれていた。なお、当時の総理府に設けられていた科学技術会議原子力委員会原子力安全委員会宇宙開発委員会海洋開発審議会の庶務を行っていた。

 これら任務が引き継がれた文部科学省には、科学技術・学術政策局、研究振興局、研究開発局が置かれている。なお、原子力やエネルギー関係については、内閣府に新設された総合科学技術会議(現、総合科学技術・イノベーション会議)や経済産業省(資源エネルギー庁など)に移管された。文部科学省発足後の付属機関や所管法人に関しては、2001年4月金属材料技術研究所と無機材質研究所が統合し物質・材料研究機構となり、2003年10月には宇宙開発事業団、航空宇宙技術研究所、宇宙科学研究所の3機関が統合し、宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))が発足した。また、科学技術振興事業団は科学技術振興機構となっている。2004年4月には海洋科学技術センターが、東京大学海洋研究所の研究船ならびにその運航組織と統合し、海洋研究開発機構となり、2005年10月には日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が統合し、日本原子力研究開発機構となった。

[平田和一]

 さらに2013年には水戸原子力事務所が廃止され、科学技術政策研究所が科学技術・学術政策研究所へと改組された。2016年、放射線医学総合研究所は日本原子力研究開発機構の一部と統合して量子科学技術研究開発機構となり、同機構の研究部門の一つとなった(2021年に放射線医学研究所と改称)。

[編集部 2021年11月17日]

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改訂新版 世界大百科事典 「科学技術庁」の意味・わかりやすい解説

科学技術庁 (かがくぎじゅつちょう)

科学技術行政を総合的に推進することをおもな目的として,1956年総理府の外局として設けられた行政機関。長官は国務大臣である。人文科学のみにかかわるものと大学での研究に関するものは権限から除外されている。科学技術庁の業務は,総合企画調整に関するもの,先導的・基盤的科学技術の推進に関するもの,科学技術の振興基盤に関するもの,の三つに大別できる。

 企画調整関係では,科学技術に関する基本的政策の企画・立案・推進,各省庁の科学技術に関する事務の総合調整,関係予算の見積方針の調整,科学技術振興調整費による重要研究の推進調整,科学技術動向調査等がある。先導的・基盤的科学技術の推進においては,まず原子力分野があり,原子力安全対策の拡充・強化,核燃料サイクルの確立,新型動力炉,核融合等の研究開発の推進,原子力施設の立地円滑化等がある。つぎに宇宙開発では,宇宙開発委員会の策定する宇宙開発政策大綱に基づき,人工衛星およびロケットの開発を推進し,衛星の打上げを行っている。以上2分野に比べて出遅れていた以下の一般分野への施策が,予算を含めて急速に伸びを見せつつある。海洋科学技術,ライフサイエンス,防災科学技術,リモートセンシング,物質・材料科学技術,地球科学技術,環境保全などである。また国際貢献を図る研究活動として,生体のもつすぐれた機能の解明のための基礎研究を進めるため,日本が主唱して始められた〈ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム〉(本部はフランスのストラスブール)を,中心となって助成している。第3の振興基盤強化活動も充実させる方向にあり,情報活動,技術移転の強化,広報啓発,地方科学技術活動の強化,資源の総合利用方策の推進などを行っている。その一環として1985年には国際科学技術博覧会(つくば博)を開催している。

 内部部局として,長官官房および科学技術政策,研究開発,科学技術振興,原子力,原子力安全の各局があり,付属機関として航空宇宙技術研究所,金属材料技術研究所,放射線医学総合研究所,防災科学技術研究所,無機材質研究所,科学技術政策研究所および各種審議会がある。また所管特殊法人として,日本原子力研究所理化学研究所動力炉・核燃料開発事業団,宇宙開発事業団,科学技術振興事業団,海洋科学技術センターがある。さらに総理府に置かれた科学技術会議,原子力委員会,原子力安全委員会,宇宙開発委員会,海洋開発審議会の庶務を行っている。2001年の省庁再編により,文部省と統合されて文部科学省となった。
科学技術政策
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百科事典マイペディア 「科学技術庁」の意味・わかりやすい解説

科学技術庁【かがくぎじゅつちょう】

旧庁名。科学技術に関する行政の総合的推進を任務とする総理府の外局で,1956年設置。付属機関として航空宇宙技術研究所,金属材料技術研究所,放射線医学総合研究所,国立防災科学技術センター,無機材質研究所,資源調査所など。国務大臣が長官(原子力委員会委員長兼任)となった。中央省庁等改革基本法により2001年から文部省と統合されて〈文部科学省〉となった。なお,科学技術庁所管の原子力行政の〈安全〉業務は,省庁再編に伴い,資源エネルギー庁に移管された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「科学技術庁」の意味・わかりやすい解説

科学技術庁
かがくぎじゅつちょう

科学技術に関する行政を総合的に推進する事務を司る国の行政機関。総理府外局として 1956年3月に設けられた。その権限および組織は科学技術庁設置法 (昭和 31年法律 49号) による。国務大臣たる科学技術庁長官を長とし,内部部局として長官官房および科学技術政策,科学技術振興,研究開発,原子力,原子力安全の5局がおかれ,各種審議会,試験研究機関などが設置された。 2001年1月省庁再編により文部省と統合され文部科学省となった。

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