精霊流し(読み)ショウリョウナガシ

デジタル大辞泉 「精霊流し」の意味・読み・例文・類語

しょうりょう‐ながし〔シヤウリヤウ‐〕【精霊流し】

盆の終わりの15日の夕方か16日の早朝に、精霊を送り返すため、供物わらや木で作った舟に乗せて川や海に流す行事灯籠とうろうを流すこともある。しょうろながし。 秋》

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精選版 日本国語大辞典 「精霊流し」の意味・読み・例文・類語

しょうりょう‐ながしシャウリャウ‥【精霊流・聖霊流】

  1. 〘 名詞 〙 盆の終わりの精霊送りの日に、供物などをわらや木でつくった舟にのせ、海や川に流す行事。火をともした灯籠を流すところもある。しょうろ流し。《 季語・秋 》
    1. 精霊流し〈長崎古今集覧名勝図会〉
      精霊流し〈長崎古今集覧名勝図会〉
    2. [初出の実例]「それは精霊流(ショウリョウナガシ)などにかかわりのあるものであり」(出典:河(1959)〈堀田善衛〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「精霊流し」の意味・わかりやすい解説

精霊流し
しょうりょうながし

盆の月の15日または16日に、盆の供え物の類を川や海などに流して先祖の霊を送る行事。供え物を蓮(はす)の葉や真菰(まこも)の茣蓙(ござ)に包んでただ流すというものから、麦藁(むぎわら)などで精霊船(ぶね)などとよぶ船をつくりそれに入れて盛大に送り出すものなどがある。また火をともした灯籠(とうろう)を流す例も多く、それが夕闇(ゆうやみ)の水面にたくさん浮かび、美しくかつもの悲しい夏の風物詩となっている。とくに長崎市の精霊(しょうろう)流しは有名で、阿弥陀(あみだ)丸とか浄土丸などの名のつけられた豪華な精霊船がつくられ、灯籠の火が港湾いっぱいに広がり美しい夜景をみせて、近年ではむしろ観光行事として発展している。

[新谷尚紀]

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百科事典マイペディア 「精霊流し」の意味・わかりやすい解説

精霊流し【しょうりょうながし】

盆行事一つ。盆の15日または16日に,依代(よりしろ)であった供物の類を川や海に流して精霊を送る。北九州では盛大に行うところが多く,佐賀の花舟,久留米・長崎の精霊舟などが名高い。
→関連項目灯籠流し

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「精霊流し」の解説

精霊流し
しょうりょうながし

盆行事の一つで,精霊送りのこと。盆に迎えた先祖・死者の霊を送るために供物とともに川や海に流す。7月15日夕方か16日早朝,あるいは1カ月遅れの盆に行われる。ムギガラ・オガラなどで精霊舟を作るか,精霊棚の供え物のナス・ウリに箸を立てて馬様にこしらえて藁苞(わらづと)にくるみ,供物とともに流す。共同で大きな舟を作り,西方丸・極楽丸などと名づけて西方浄土へ送る気持を表す土地もある。灯籠流しは精霊流しの変化したもの。

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デジタル大辞泉プラス 「精霊流し」の解説

精霊流し〔さだまさし〕

①日本のポピュラー音楽。歌はフォークグループ、グレープ。1974年発売。作詞・作曲:さだまさし。
②さだまさしの自伝的小説。①をモチーフとする。2001年刊行。
③2003年公開の日本映画。②を原作とする。監督:田中光敏、脚本:横田与志。出演:内田朝陽、酒井美紀、池内博之、高島礼子、山本太郎、仁科亜季子、蟹江敬三ほか。第46回ブルーリボン賞助演男優賞(山本太郎)受賞。

精霊(しょうろう)流し〔戯曲〕

岡部耕大による戯曲。1980年、自身の演出により、劇団空間演技が初演。

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事典・日本の観光資源 「精霊流し」の解説

精霊流し

(長崎県長崎市)
長崎県文化百選 祭り・行事編」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の精霊流しの言及

【灯籠流し】より

…河川とくに河口や,湖,海に臨んだ地方に多くみられる。盆の供えものを精霊舟にのせ,灯火をつけて川や海に流し,精霊を送る精霊流しの変化したものともみられるが,灯籠流しはとくに川施餓鬼(かわせがき)と関係があり,もともと水難など横死者の霊に対して,大寺院の主催で行われる例が多かった。今も京都の嵯峨では盆の16日に,嵐山の渡月橋の川下に大覚寺の施餓鬼棚が設けられ,夕方に施餓鬼法が修せられ,そののち灯籠流しが行われる。…

【水】より

…井戸にも同様の崇拝がみられることがある。同時に水には,死者の汚れを清め死霊を他界に導く霊威があるとされ,そこから死者の死水をとり墓場に水を供えることが行われるようになり,さらに盆の精霊(しようりよう)流しや流れ灌頂などの民俗も生みだされた。井戸【山折 哲雄】。…

※「精霊流し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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