結ぼれる(読み)ムスボレル

デジタル大辞泉 「結ぼれる」の意味・読み・例文・類語

むすぼ・れる【結ぼれる】

[動ラ下一][文]むすぼ・る[ラ下二]
結ばれて解けにくくなる。
「糸の―・れたように」〈中勘助・鳥の物語
水分などが凝固凝結する。
夫人の長い睫毛まつげの先に幾粒かの露の玉が―・れて」〈谷崎・武州公秘話〉
心にわだかまる。
日頃―・れて解けない胸中疑問を」〈藤村破戒
関係をつくる。縁故になる。
相構へてこのゆかりに―・れんとぞしける」〈長門本平家・一〉
[類語](3塞ぐふさがる沈む滅入めい曇るうつする鬱屈うっくつする鬱結うっけつする消沈するしょげるしょげ返るふさぎこむ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「結ぼれる」の意味・読み・例文・類語

むすぼ・れる【結】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]むすぼ・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 結ばれて解けにくくなる。もつれる。また、物事がそのような状態になる。
    1. [初出の実例]「玉の緒はむすほれてのみやみなましかくしも君が思ひとかずや〈藤原公経〉」(出典:広本拾玉集(1346)五)
  3. 固まって形になる。
    1. [初出の実例]「しばしこそそでのこほりのむすほれめいまおもはるのかぜにとけなん」(出典:一条摂政集(961‐992頃))
  4. 心が鬱屈して晴れ晴れしなくなる。気がめいる。憂鬱になる。沈んだ気持になる。
    1. [初出の実例]「ねもころに 思ひ牟須保礼(ムスボレ) 歎きつつ 吾(あ)が待つ君が」(出典万葉集(8C後)一八・四一一六)
  5. つながりを持つ。関係を結ぶ。
    1. [初出の実例]「さればいか成人も相構へて此ゆかりに結ぼれんとぞしける」(出典:長門本平家(13C前)一)

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