絵島(読み)エジマ

デジタル大辞泉 「絵島」の意味・読み・例文・類語

え‐じま〔ヱ‐〕【絵島】

兵庫県淡路島岩屋港南東にある岩。月の名所。[歌枕
「さよ千鳥ふけひの浦に音づれて―がいそに月傾ぶきぬ」〈千載・雑上〉

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精選版 日本国語大辞典 「絵島」の意味・読み・例文・類語

え‐じまヱ‥【絵島】

  1. [ 1 ] ( 「えしま」とも ) 兵庫県淡路島北東端にある景勝地。古くから月の名所として知られ、南東方から遠望すると離島のように見える。歌枕。
    1. [初出の実例]「思ひきやゑしま見し夜の曙にけふの明石の袖のけしきを」(出典:散木奇歌集(1128頃)悲嘆)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙えじまいし(絵島石)」の略。

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日本歴史地名大系 「絵島」の解説

絵島
えじま

岩屋いわや地区北東部の絵島に比定される文芸地名。「八雲御抄」には「ゑじま」「ゑじまが磯」「ゑじまが崎」があげられている。「枕草子」第二〇四段には「島は」として「絵島」などがあげられている。また「平家物語」巻五(月見)には、治承四年(一一八〇)福原ふくはらの新都(現神戸市兵庫区)に住む人々は名所の月を見るために「須磨より明石の浦づたひ、淡路のせとをおしわたり、絵嶋が磯の月をみる」とあり、景勝の地と考えられていたようである。

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朝日日本歴史人物事典 「絵島」の解説

絵島

没年寛保1(1741)
生年:天和1(1681)
江戸中期,7代将軍徳川家継の生母月光院付の御年寄江島とも。正徳4(1714)年1月増上寺代参の帰途,寛永寺代参の同役宮路と共に,女中衆をひきつれて木挽町山村座遊興,帰城に遅れた。このため,日頃の行い正しからず死罪に処すべきところ遠島,との判決を受け,高遠藩(長野県)内藤家預けとなり,高遠の囲屋敷で27年間の幽閉生活を送り,没した。女中衆9名罷免,その召仕68名追放,座元の山村長太夫,役者生島新五郎の芝居関係者をはじめ奥医師,呉服商ら遠島10名,死罪2名などを出し,山村座は断絶。いわゆる絵島生島事件である。前将軍綱吉在位4年,当代わずかに6歳,大奥の強力な後ろだてはなく,元禄の世に育った絵島の闊達であったといわれる性格が,風俗匡正の好機を招いたといえる。背景には,綱吉時代の政治刷新をはかった「正徳の治」を継承しようとする月光院や間部詮房らと,門閥譜代層との対立があった。

(片倉比佐子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「絵島」の解説

絵島 えじま

1681-1741 江戸時代中期の大奥女中
天和(てんな)元年生まれ。7代将軍徳川家継の生母月光院につかえ,年寄として大奥に権勢をふるう。正徳(しょうとく)4年山村座の役者生島新五郎との密通の罪で,信濃(しなの)(長野県)高遠に流刑。同地で27年間すごし,寛保(かんぽう)元年4月10日61歳で没した。生島は三宅島に遠島,山村座は断絶となった。江島ともかく。

絵島 えしま

1809-1887 幕末-明治時代,和宮(かずのみや)の乳母(めのと)。
文化6年4月生まれ。弘化(こうか)4年からつかえる。和宮降嫁では島田左近ら賛成派にくみし,反対派の橋本実麗(さねあきら)にはたらきかけた。文久元年宮とともに江戸にいき近侍した。明治20年2月22日死去。79歳。京都出身。通称は藤御乳。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「絵島」の意味・わかりやすい解説

絵島
えじま

兵庫県南部、明石海峡(あかしかいきょう)にある陸繋島(りくけいとう)。淡路(あわじ)市に属す。周囲約400メートル。朱色から褐色までの縞(しま)模様の堆積(たいせき)岩で、絵のように美しいところからこの名がある。また、歌枕(うたまくら)として知られ、『千載集(せんざいしゅう)』『続古今集(しょくこきんしゅう)』などに歌われ、国生みのオノコロ島伝説もある。

[吉田茂樹]

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世界大百科事典(旧版)内の絵島の言及

【江島生島物】より

…新舞踊の代表作として今日も流行している。また,舟橋聖一が自作の小説をみずから脚色した《絵島生島》があり,1954年3月から3回にわたり,いずれも東京歌舞伎座で尾上菊五郎劇団によって上演された。【松井 俊諭】。…

※「絵島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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