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詩人,美術批評家。富山県生れ。慶応大学でイギリスより帰国した西脇順三郎に刺激されシュルレアリスムに傾倒,ブルトンと文通して,1930年に《超現実主義と絵画》(原著は1928刊)を翻訳し,モダニズムの風潮をこえた〈言語の極北〉をめざす詩的実験をつづけた。31年慶大英文科卒業後,PCL(写真化学研究所)で映画制作に従事。37年阿部展也(芳文)と共著の詩画集《妖精の距離》,38年戸坂潤の要請で〈唯物論全書〉の1冊として出た《近代芸術》で,青年美術家の中心となる。41年福沢一郎とともに共産主義シンパとして検挙され,8ヵ月後起訴猶予で釈放された。戦後は50年以後《読売新聞》に美術時評を担当,51年よりタケミヤ画廊企画展に多くの前衛新人をとりあげ(1957まで),同年総合芸術集団〈実験工房〉を結成。その間《今日の美術と明日の美術》(1953),《16の横顔》(1955),《幻想画家論》(1959),リード,カスーらの翻訳を刊行。58年ベネチア・ビエンナーレ代表として渡欧,ダリ,デュシャン,ブルトン,ミショーらと会見。帰国後,60年より,インキの滴り,デカルコマニー,紙の焼きこがし作品で個展を数回開く,63年評論集《点》以後,新聞・雑誌への執筆をやめ,役職,審査員を辞退し,著述は個人あての断章,個展への序文に集中。65-67年,赤瀬川原平の千円札裁判で特別弁護人をつとめた。67年,戦前の詩作の集成《滝口修造の詩的実験1927-1937》刊。
執筆者:針生 一郎
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詩人、美術評論家。富山県婦負(ねい)郡寒江(さぶえ)村大塚(現富山市)生まれ。1931年(昭和6)慶応大学英文学科を卒業。30年に親交のあったフランスの詩人アンドレ・ブルトンの『超現実主義と絵画』を翻訳、その後フランスの現代詩と美術を研究紹介、とくにシュルレアリスムをはじめ前衛芸術運動の推進に力を尽くした。41年には政府の前衛美術弾圧のため検挙され、8か月間拘留された。第二次世界大戦後は若い前衛的な詩人、美術家、音楽家たちと「実験工房」を結成、前衛的な現代美術の発展に指導的役割を果たした。60年(昭和35)東京・南天子画廊で初めての個展を開く。63年以後は執筆や美術展の審査などをいっさいやめていたが、70年にミロとの詩画集『手づくり諺(ことわざ)』、75年にアントニオ・タピエスとの詩画集『物質のまなざし』、78年にはミロとの詩画集『ミロの星と共に』を完成した。
[永井信一]
『大岡信著『ミクロコスモス瀧口修造』(1984・みすず書房)』
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出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…1950年代に活動した日本で最初の総合的な芸術グループ。交遊をつづけていた,当時まだ20代前半の音楽家,美術家,技術者たちがグループを組織することを相談,詩人,美術批評家の滝口修造の命名で1951年11月に結成された。メンバーは作曲の武満徹,鈴木博義,湯浅譲二(のち一時,佐藤慶次郎と福島和夫が参加),ピアノの園田高弘,詩・評論の秋山邦晴,美術の北代省三,福島秀子,山口勝弘,駒井哲郎,写真の大辻清司,照明の今井直次,技術の山崎英夫。…
…20年代の後半に西脇順三郎らの紹介によって,若い詩人たちの間に関心が芽生え,《詩と詩論》などいくつかの雑誌が刊行された。しかし最初の本格的なシュルレアリスム的活動は,滝口修造による自動記述の実験(1929‐31)とブルトン著《シュルレアリスムと絵画》(1928)の翻訳(1930)である。とくに後者の,画家たちへの影響は大きかった。…
…この当時〈前衛〉とよばれた写真家たちは,モンタージュ,コラージュ,多重露光,フォトグラムなどのテクニックを駆使して,幻想的な傾向の作品を生みだしたばかりではなく,安井仲治の写真のように強い主観性に根ざしたリアルでストレートな写真をも生み出していった。また東京では,当時は写真評論家としても指導的立場にあった美術評論家で詩人の滝口修造らを中心として,1938年(昭和13)に〈前衛写真研究会〉も設立されている。シュルレアリスムの紹介者でもある滝口修造は,幻想的・抽象的な傾向だけではなく,それと対立するようなストレートで記録的な写真の中にもそれに通底する新しい写真の表現を見ようとしていた。…
… 日本における美術批評的言説は,世紀末の岡倉天心や森鷗外の活動に始まり,1907年の文展開設以後のジャーナリズムに大きな位置を占める。1910年代の《白樺》による批評,20年代以降の前衛的な批評,わけても滝口修造(1903‐79)の1930年代,50年代の仕事,宮川淳(1933‐77)の60年代の仕事が,創造的な批評として特筆に値しよう。美術批評【阿部 良雄】。…
※「滝口修造」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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