のう【膿】
〘名〙 炎症時に見られる
組織からの浸出
液中に多量の
白血球が集まってできた、黄色あるいは緑色の液体。リンパ球、大食細胞や組織成分の分解産物が含まれるほか、多数の
細菌類が存在する。
うみ。うみしる。
※漫才読本(1936)〈
横山エンタツ〉耳の耳「この鼓膜を切ってね、中の膿
(ノウ)をすっかり取って了
(しま)うて」 〔史記‐倉公伝〕
うみ【膿】
〘名〙
①
化膿したところから出る液。黴菌性炎症の結果生じる半流動性、帯黄白色の不透明の
滲出液。うみしる。のう。うな。
※
書紀(720)神代上(御巫本訓)「膿
(ウミ)沸
(わ)き、
虫(うじ)流
(たか)る」
② (比喩的に) 始末しないと、すっきりしないもののたとえ。特に、組織の中の
弊害などについていう。
う・む【膿】
〘自マ五(四)〙 きずやはれものがうみをもつ。化膿する。
※聖語蔵本成実論天長五年点(828)一六「譬へば熟(ウメ)る癰(よう)は壊るること則ち易し」
うな【膿】
※書紀(720)神代上(水戸本訓)「則ち膿(ウナ)沸(わ)き、虫(うじ)流(たか)る」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
うみ【×膿】
1 炎症部が化膿して生じる黄白色または黄緑色の不透明な粘液。主に白血球と血清からなり、組織の崩壊物、死んだ細菌などが含まれる。うみしる。のう。
2 団体などの内部に蓄積した弊害のたとえ。「沈滞した組織の膿を出す」
[類語]膿汁
のう【膿】[漢字項目]
[音]ノウ(呉) [訓]うみ うむ
うみ。うむ。「膿血・膿汁/化膿」
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膿
のう
pus
化膿性炎症の際に出る,黄色不透明で濃厚な滲出液をいう。膿の中には,血液中から遊出してきた白血球,特に好中球が多数見出される。これらは脂肪変性に陥るため,膿が黄色にみえるようになる。 (→化膿 )
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膿【うみ】
化膿した時に患部から出る黄〜黄緑色の液。細胞成分の主要なものは食菌の過程で崩壊した白血球で,その他種々の細菌,局所組織細胞などが含まれる。
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世界大百科事典内の膿の言及
【化膿】より
…組織の損傷部に多量の好中球が集まり,組織の融解が起こり,局所に濃厚な液を貯留することをいう。この濃厚な滲出液を膿(うみ)といい,その内容は,多量の白血球,生菌や死菌,繊維素,液性成分,細菌,組織や白血球の崩壊産物,それに由来するコレステロール,レシチンなどの脂質,多量のDNAから成る。化膿の原因は細菌感染が最も多いが,白血球の走化をひき起こすような化学物質によっても無菌的な化膿が起こる。…
【血球】より
…(2)白血球 顆粒球と単球の働きは,侵入した病原微生物に対して生体を防御することである。病原体の侵入によって,その局所や全身に生ずる反応を感染といい,感染の局所にみられる膿(うみ)は,細菌と戦って死滅した顆粒球,単球の死骸である。これらの血球は血管から遊出して必要な所へ集まる性質(遊走能),細胞を積極的に食べる能力(貪食能),さらに食べた細菌を細胞質内で溶解して殺す能力(殺菌能)をもっている。…
【膿瘍】より
…化膿性炎症により限局性にうみ(膿)がたまった状態をいう。主として化膿性の細菌(ブドウ球菌,連鎖球菌,肺炎双球菌,髄膜炎菌,リン菌)の感染により生ずる炎症である。…
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