(読み)ウミ

デジタル大辞泉 「膿」の意味・読み・例文・類語

うみ【×膿】

炎症部が化膿かのうして生じる黄白色または黄緑色の不透明な粘液。主に白血球血清からなり、組織の崩壊物、死んだ細菌などが含まれる。うみしる。のう。
団体などの内部に蓄積した弊害のたとえ。「沈滞した組織のを出す」
[類語]膿汁

のう【膿】[漢字項目]

[音]ノウ(呉) [訓]うみ うむ
うみ。うむ。「膿血膿汁化膿

のう【×膿】

うみ

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精選版 日本国語大辞典 「膿」の意味・読み・例文・類語

うみ【膿】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 化膿したところから出る液。黴菌性炎症の結果生じる半流動性、帯黄白色の不透明の滲出液。うみしる。のう。うな。
    1. [初出の実例]「膿(ウミ)(わ)き、虫(うじ)(たか)る」(出典日本書紀(720)神代上(御巫本訓))
  3. ( 比喩的に ) 始末しないと、すっきりしないもののたとえ。特に、組織の中の弊害などについていう。

のう【膿】

  1. 〘 名詞 〙 炎症時に見られる組織からの浸出液中に多量の白血球が集まってできた、黄色あるいは緑色の液体。リンパ球大食細胞や組織成分の分解産物が含まれるほか、多数の細菌類が存在する。うみ。うみしる。
    1. [初出の実例]「この鼓膜を切ってね、中の膿(ノウ)をすっかり取って了(しま)うて」(出典:漫才読本(1936)〈横山エンタツ〉耳の耳)
    2. [その他の文献]〔史記‐倉公伝〕

うな【膿】

  1. 〘 名詞 〙うみ(膿)
    1. [初出の実例]「則ち膿(ウナ)(わ)き、虫(うじ)(たか)る」(出典:日本書紀(720)神代上(水戸本訓))

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普及版 字通 「膿」の読み・字形・画数・意味


17画

(異体字)
19画

[字音] ノウ・ドウ
[字訓] うみ・ただれる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は農(のう)。正字はに作り、農の正字であるの上部をとる。〔説文〕五上に「は腫血(しようけつ)なり」とし、膿をその俗字としてあげる。〔釈名、釈形体〕には字を膿に作り、「膿は(ぢよう)なり。汁、厚なるなり」といい、濃厚の意を以て解する。

[訓義]
1. うみ、うみしる。
2. ただれる。

[古辞書の訓]
和名抄〕膿 宇无(うむ)と訓む。宇美之留(うみしる)と云ふ 〔名義抄〕膿 ウミシル・ウム・ススハナ

[語系]
膿numは濃・niumと声義近く、みな濃厚・繁縟の意をもつ語である。

[熟語]
膿潰膿肌・膿血・膿汁膿腫膿瘡膿団膿包
[下接語]
化膿・吮膿・肥膿

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「膿」の意味・わかりやすい解説

膿(うみ)
うみ

生体組織の炎症の結果生じた帯黄灰白色のどろどろした液体をいう。炎症のうち、滲出(しんしゅつ)の傾向が著明なものを滲出性炎といい、滲出物の中に多量の白血球が混じる場合を化膿(かのう)性炎とよぶ。この炎症が臓器、組織の中に限局しているものを膿瘍(のうよう)、びまん(広範)性に広がっているものを蜂窩織炎(ほうかしきえん)という。いずれの場合も、滲出物はアルカリ性の液体で、これが膿である。膿は、膿球、すなわち好中球といわれる細胞成分と、膿清とよばれる液体成分とからなっている。

[渡辺 裕]


膿(のう)
のう

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「膿」の意味・わかりやすい解説


のう
pus

化膿性炎症の際に出る,黄色不透明で濃厚な滲出液をいう。膿の中には,血液中から遊出してきた白血球,特に好中球が多数見出される。これらは脂肪変性に陥るため,膿が黄色にみえるようになる。 (→化膿 )  

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百科事典マイペディア 「膿」の意味・わかりやすい解説

膿【うみ】

化膿した時に患部から出る黄〜黄緑色の液。細胞成分の主要なものは食菌の過程で崩壊した白血球で,その他種々の細菌,局所組織細胞などが含まれる。

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改訂新版 世界大百科事典 「膿」の意味・わかりやすい解説

膿 (うみ)

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【化膿】より

…組織の損傷部に多量の好中球が集まり,組織の融解が起こり,局所に濃厚な液を貯留することをいう。この濃厚な滲出液を膿(うみ)といい,その内容は,多量の白血球,生菌や死菌,繊維素,液性成分,細菌,組織や白血球の崩壊産物,それに由来するコレステロール,レシチンなどの脂質,多量のDNAから成る。化膿の原因は細菌感染が最も多いが,白血球の走化をひき起こすような化学物質によっても無菌的な化膿が起こる。…

【血球】より

…(2)白血球 顆粒球と単球の働きは,侵入した病原微生物に対して生体を防御することである。病原体の侵入によって,その局所や全身に生ずる反応を感染といい,感染の局所にみられる膿(うみ)は,細菌と戦って死滅した顆粒球,単球の死骸である。これらの血球は血管から遊出して必要な所へ集まる性質(遊走能),細胞を積極的に食べる能力(貪食能),さらに食べた細菌を細胞質内で溶解して殺す能力(殺菌能)をもっている。…

【膿瘍】より

…化膿性炎症により限局性にうみ(膿)がたまった状態をいう。主として化膿性の細菌(ブドウ球菌,連鎖球菌,肺炎双球菌,髄膜炎菌,リン菌)の感染により生ずる炎症である。…

※「膿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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