自然硫黄(読み)シゼンイオウ(その他表記)sulfur

翻訳|sulfur

精選版 日本国語大辞典 「自然硫黄」の意味・読み・例文・類語

しぜん‐いおう‥いわう【自然硫黄】

  1. 〘 名詞 〙 天然に産する硫黄。多く塊状・粒状・粉状でもろく、黄色。ふつう火山・温泉などに産し不純物を含む。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「自然硫黄」の意味・わかりやすい解説

自然硫黄
しぜんいおう
sulfur
sulphur

非金属元素鉱物の一つ。噴気性鉱床火山昇華物温泉沈殿物として、あるいは化学的堆積(たいせき)岩、とくに岩塩鉱床に伴われて産し、硫黄鉱床を形成する。ほかに小規模なものは、金属鉱床酸化帯、花崗(かこう)岩質ペグマタイト、熱水交代岩中などに産することもある。天然にはこの斜方晶系のもの(α(アルファ)相)のほか、β(ベータ)相(単斜)およびγ(ガンマ)相(単斜)の3変態がある。後二者は常温で不安定で、徐々にα相に転移する。自形はやや尖(とが)った斜方両錐(りょうすい)形あるいは斜方複角錐台をなし、針状に近い尖った輪郭をもつものもある。原子配列は特殊で、8個の硫黄原子がつくる環状構造のS8分子からなる。自形は骸晶をなすことが多い。これは気体の硫黄から昇華によって生成される際、少しでも表面積が多くなって固化する結果の産物である。

 日本で多量の濃集を示す箇所は、多く酸性マグマの活動に伴う浅所の火成活動の産物で、火山や温泉の活動と関係が深い。1935年(昭和10)北海道知床(しれとこ)岳付近から発生した自然硫黄の流出現象は、世界でもまれな現象として知られる。硫黄は現在は石油の脱硫作業の副産物として回収されているため、日本のすべての硫黄鉱山は閉山された。岩手県松尾鉱山、群馬県草津鉱山などが有名であった。

[加藤 昭]



自然硫黄(データノート)
しぜんいおうでーたのーと

自然硫黄
 英名    sulfur,sulphur
 化学式   S
 少量成分  Se
 結晶系   斜方(直方)
 硬度    1.5~2.5
 比重    2.08
 色     黄~黄灰,赤(含セレン)
 光沢    樹脂
 条痕    微帯黄白
 劈開    無
       (「劈開」の項目を参照)
 その他   空気中で燃え,二酸化硫黄の刺激臭を発する

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最新 地学事典 「自然硫黄」の解説

しぜんいおう
自然硫黄

sulfur ,sulphur

化学組成Sの鉱物。少量のSeやTeを含むことがある。α-硫黄(直方晶系),β-硫黄(単斜),γ-硫黄(単斜),δ-硫黄(単斜?),ε-硫黄(六方),ζ-硫黄(六方?),無定形硫黄(sulfurite)および液状硫黄などの多形があるが,天然に産するのは主としてα-硫黄で,その他にβ-硫黄,γ-硫黄,無定形硫黄および液状硫黄がある。γ-硫黄はrosickyiteと呼ばれている。α-硫黄は,空間群Fddd,格子定数a1.045nm, b1.284, c2.446,単位格子中128原子含む。樹脂黄色で,ときに赤味や褐色味を帯びる。斜方複錐形や厚板状の透明~半透明結晶。塊状や鍾乳石様の集合体としても産する。{001}・{110}・{111}に不完全な劈開がある。断口貝殻状ないし不規則。硬度1.5~2.5,比重2.08。光学性(+),2V69°,屈折率α1.958,β2.038,γ2.245。火山の噴気孔,各種硫化物鉱床,炭質堆積物,温泉沈殿物などにみられる。

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世界大百科事典(旧版)内の自然硫黄の言及

【硫黄】より

…その後医薬または黒色火薬として広く用いられてきた。
[存在]
 天然には遊離の状態で自然硫黄として,また広く鉄その他の重金属と結合した硫化物の黄鉄鉱FeS2,方鉛鉱PbS,セン亜鉛鉱ZnS,黄銅鉱CuFeS2など,硫酸塩のセッコウCaSO4・2H2O,硬セッコウCaSO4,重晶石BaSO4などとして産する。日本をはじめ,シチリア島,アイスランド,メキシコ,スペインなどの火山地帯では遊離硫黄(自然硫黄)を産し,アメリカのルイジアナ州,テキサス州にも多量の遊離硫黄の層が存在する。…

※「自然硫黄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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