国立大学法人法に基づいて設置された、大学共同利用機関法人自然科学研究機構傘下の国立研究所。1975年(昭和50)4月に創設された。英語名はInstitute for Molecular Science。略称は分子研、IMS。所在地は愛知県岡崎市。
分子科学は、分子が姿を変化させていく化学反応のありさまや分子間で働く相互作用の本質を見極めようとする学問である。原子、分子のシンプルなふるまいから、いかに多様なものが生まれるのかを明らかにし、自然の豊かさの源を探る学問である。研究成果は、新しい物質の創製、エネルギーの有効利用や環境問題への対応など、物質から生命に至る幅広い分野にわたっている。
分子科学研究所の研究領域は四つある。理論・計算分子科学、光分子科学、物質分子科学、生命・錯体分子科学である。また、基礎生物学研究所および生理学研究所の協力で統合バイオサイエンスセンターを設立し、分子物質開発研究センターを改組拡充して分子スケールナノサイエンスセンターを設立している。世界最高性能を誇る核磁気共鳴(NMR:nuclear magnetic resonance)装置の導入、極端紫外光研究施設(UVSOR:Ultraviolet Synchrotron Orbital Radiation Facility)の高度化による低エネルギーのシンクロトロン光源の研究、新しいレーザー分子科学の推進、スーパーコンピュータを活用した大規模シミュレーション計画の推進などに意欲的に取り組んでいる。
トムソン・ロイター社が2015年に発表した、2009~2013年における論文引用度指数のランキングで、国内の大学・研究機関のなかで総合1位になるなど、国内外で高い評価を受けている。
[馬場錬成・玉村 治 2018年7月20日]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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