舞良戸(読み)マイラド

デジタル大辞泉 「舞良戸」の意味・読み・例文・類語

まいら‐ど〔まひら‐〕【舞良戸】

書院造り建具の一。かまちの間に板を張り、その表側舞良子まいらことよぶさんを横に細かい間隔で入れた引き違い戸。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「舞良戸」の意味・読み・例文・類語

まいら‐どまひら‥【舞良戸】

  1. 〘 名詞 〙 書院造りの建具の一つ。框(かまち)の間に綿板(わたいた)を張り、その表裏に桟(さん)(=舞良子)を横あるいは縦に間隔狭く取りつけた引違い戸。
    1. 舞良戸〈慕帰絵〉
      舞良戸〈慕帰絵〉
    2. [初出の実例]「たぬきををどす篠張の弓〈史邦〉 まいら戸に蔦這かかる宵の月〈芭蕉〉」(出典:俳諧・猿蓑(1691)五)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「舞良戸」の意味・わかりやすい解説

舞良戸 (まいらど)

2本の縦框(たてかまち)の間に狭い間隔で横桟(よこさん)を渡し,それに板を打ちつけた引戸をいう。主として外まわり建具として用いられた。この形式の戸は平安時代絵巻物にすでに描かれているが,当時は〈遣戸(やりど)〉と呼ばれていた。舞良戸の語源は明らかでなく,またその語が使用されるのも近世に入ってからである。寝殿造の外まわり建具は蔀戸(しとみど)が主で,出入口にのみ妻戸(つまど)(扉)が使われていた。遣戸の発生は両者より遅れ,寝殿の背面などの内向きの部分で使われはじめたがしだいに一般化し,室町時代に入ると書院造の建具として多く用いられるようになる。蔀戸に比較して開閉がはるかに容易であったことが普及の主要因であったろう。1間の開口部に2枚の舞良戸,その内側に1枚の障子を入れるのが普通だったが,障屛画の発達にともなって,舞良戸の室内側の面を襖仕立てとし,そこに絵を描くものも現れる。また桟の方向も縦としたり,あるいはそれを吹寄せにするものなども作られるようになる。

執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「舞良戸」の意味・わかりやすい解説

舞良戸【まいらど】

戸框(とがまち)の間に板を入れ,水平の桟を間隔をつめて打った引戸。平安時代には遣戸(やりど)の名で用いられたが,書院造の建具として使用されるようになった。水平の桟を舞良子,その間の板を綿板という。
→関連項目建具

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「舞良戸」の解説

舞良戸
まいらど

引違いの板戸の形式。框(かまち)(枠)の間に舞良子(まいらこ)とよばれる細い桟を横向き等間隔に配し,その間に綿板(わたいた)という薄い板をはめこんだもの。遣戸(やりど)ともいう。平安時代の中頃に成立し,その後建物の内部外部を隔てる建具として発展。舞良戸の内側に明障子(あかりしょうじ)をいれる建具の組合せは,中世住宅の内外を隔てる建具の形式としてよくみられる。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

家とインテリアの用語がわかる辞典 「舞良戸」の解説

まいらど【舞良戸】

引き違いの板戸で、舞良子(まいらこ)と呼ばれる数多くの細い横桟を等間隔で密に取り付けたもの。雨戸が用いられるようになる前は、明かり障子と組み合わせて書院造りの外まわりの建具として多く用いられた。◇「遣り戸(やりど)」ともいう。

出典 講談社家とインテリアの用語がわかる辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の舞良戸の言及

【戸】より

… 引戸は〈遣戸(やりど)〉と呼ばれるが,その発生は扉よりも遅れ平安後期である。この時代の絵巻物に見えるのは狭い間隔に横桟を打ったもので,後に〈舞良戸(まいらど)〉と呼ばれる形式である。仏堂や寝殿造の内部では〈透遣戸(すきやりど)〉と呼ばれる引違いの格子も使われた。…

※「舞良戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android