良民(読み)りょうみん

精選版 日本国語大辞典 「良民」の意味・読み・例文・類語

りょう‐みん リャウ‥【良民】

〘名〙
① 善良な人民、まじめで勤勉な国民
史記抄(1477)一五「文武の道が不備。良民がるものぞ」 〔管子‐明法解〕
続日本紀‐養老四年(720)六月戊戌「今西隅小賊、怗乱逆化、屡害良民

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デジタル大辞泉 「良民」の意味・読み・例文・類語

りょう‐みん〔リヤウ‐〕【良民】

善良な人民。まじめな国民。
律令制で、賤民せんみん以外の者。口分田班給を受け、租庸調負担した。公民良人

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「良民」の意味・わかりやすい解説

良民
りょうみん

令制における陵戸官戸家人公奴婢私奴婢などの賤民 (→ ) 以外の人民。公民とも呼ばれ,課税を負担した。良民と賤民の間の通婚は禁じられたが,良賤間の子,76歳以上の官戸などは良民に入れられた。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「良民」の解説

良民
りょうみん

律令制の身分用語。良賤制という身分制度において,賤民と対比される人民で,とくに日本では課役を負担する公民とほぼ同義で用いられることが多い。公民と同じく「オオミタカラ」と訓じられる。良民という語自体は中国からのもので,礼的秩序内の存在という意味ももっていたが,日本ではその意味はなかった。

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百科事典マイペディア 「良民」の意味・わかりやすい解説

良民【りょうみん】

律令制で一般の公民のこと。賤民(せんみん)の対。班田収授対象となり,租税・兵役を負担。良・賤の区別は10世紀にほぼ消滅した。

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旺文社日本史事典 三訂版 「良民」の解説

良民
りょうみん

律令制における身分で賤民以外の称
皇族・貴族・地方豪族・公民・品部 (しなべ) ・雑戸などを称した。戸を形成し課役を負担したが,位階を有した貴族はそれに応じていろいろな特権があった。

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世界大百科事典(旧版)内の良民の言及

【姓】より

…これら族姓,人姓,部姓,人部姓,某姓は被支配階級に付与された姓であるが,そのうち族姓,人姓,某姓は被支配階級のなかでも比較的上層の人民に与えられた。ただし姓を与えられたのは良民だけで,賤民には姓が付与されず無姓のままにとどめられた。 このように姓は670年の庚午年籍以降,人民支配の制度として律令国家によって作りだされたものであり,戸籍の制度や良賤制という身分制度と不可分の関係にあった。…

【賤民】より

…【阿部 謹也】
[中国]
 中国においては,古くから血統あるいは職業などによって区別される身分制度が存在した。具体的な例をあげていえば,良民と賤民,士人と庶人,士農工商の四民などである。良民には士人と庶人が属し,自由民であるが,士人は上級自由民,庶人は農工商の民で,下級の自由民であった。…

【平民】より

…(1)古代律令制下で位階官職をもたない一般人民をさした語。百姓,公民,良民と同様な意味で用いられた身分呼称であった。《令義解(りようのぎげ)》で〈家人(けにん),奴婢(ぬひ)〉について〈すでに平民に非ず〉といわれているように,賤民である家人や奴婢は平民身分から除外された。…

【律令制】より

…養老令の規定では,賤民に陵戸(りようこ),官戸(かんこ),家人(けにん),官奴婢(ぬひ)(公奴婢),私奴婢の5種があり(五色の賤),それぞれ同一身分内部で婚姻しなければならないという当色婚の制度が定められていたが,このうち陵戸は大宝令では雑戸(ざつこ)の一種としてまだ賤とはされていなかった可能性が強い。雑戸は品部(しなべ)とともに前代の部民(べみん)の一部が律令制下になお再編・存続させられ,それぞれ特定の官司に隷属して特殊な労役に従事させられたもので,そのため身分上は良民でありながら,社会的に一般公民とは異なる卑賤な存在として意識された。治部省被官の諸陵司(のち諸陵寮)に隷属した陵戸も,本来良民に属するものでありながらいち早く同様の経過をたどり,養老律令の編纂時には明確に賤として位置づけられるに至ったと考えられる。…

【良賤法】より

…日本の古代に,良民と賤民の婚姻や生まれた子の帰属を定めた法。645年(大化1)の男女の法は,良民が奴婢(ぬひ)との間になした子は奴婢につけ,所有者の異なる奴婢の間の子は母である婢につけると定めた。…

※「良民」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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