朝鮮民主主義人民共和国,咸鏡北道の山間地にある鉱山都市。中国との国境河川,豆満江中流の狭小な平地部に位置する。女真族など中国東北地方の諸族が朝鮮半島へ侵入する通路の一つにあたり,李王朝はここに兵営を置き,北辺防備にあたらせた。日本植民地時代に入ると,間島への朝鮮人移民ルートや豆満江流域の木材搬出の基地となり,筏流しが行われた。茂山に至る鉄道が建設されたのを契機として,1930年代には茂山鉄鉱山の開発が進められ,この鉄鉱石を原料とする大規模な製鉄工業が日本海沿岸の清津で行われるようになった。最近は,茂山から清津の金策製鉄所までの長距離輸送管が設置され,茂山の選鉱所で粉砕された鉄鉱石が送られている。茂山鉄鉱山は埋蔵量が10億t以上と推定される朝鮮最大の磁鉄鉱床であり,品位は40%内外とそれほど高くないが,北朝鮮の国内需要を十分みたしたうえ,日本等へも輸出されている。
執筆者:谷浦 孝雄
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北朝鮮、咸鏡(かんきょう)北道にある邑(ゆう)(町)。鉄産地で知られる。豆満江(とまんこう)の支流、城川水流域を占め、中国との国境に臨んでいる。豆満江材の原木生産基地で、集まった原木は筏(いかだ)に組んで会寧(かいねい)まで流している。鉄鉱は邑北方の彰烈(しょうれつ)洞にあり、埋蔵量は11億トンといわれる。1916年に発見され、35年より採掘している。鉱床は3000メートルに達し、赤鉄鉱、磁鉄鉱、石英片岩で、磁鉄鉱の比重が高い。品位は40%で磁力選鉱によって品位を60%に高めている。鉄鉱石は茂山線によって、また一部は輸送管によって清津製鉄所に送られている。
[魚 塘]
(矢部良明)
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「ムサン(茂山)」のページをご覧ください。
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