日本歴史地名大系 「菜畑遺跡」の解説
菜畑遺跡
なばたけいせき
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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佐賀県唐津市菜畑字松円寺にある縄文時代晩期から弥生時代中期にわたる集落跡と日本最古の水田跡である。唐津市街の西方,衣干山の東麓から東へのびる舌状丘陵の先端部付近に位置し,当時は東西にのびていた砂丘の内側に形成された潟にのぞんでいる。1981年の発掘調査で住居跡,遺物包含層,水田等の遺構と豊富な遺物が出土している。遺物包含層は,5層に大別され,とくに最下層の縄文時代晩期(山の寺式)の層から,畦畔で画された水田遺構と共に炭化米,大麦,ソバ,ヒョウタン,栗等の植物遺体,各種の動物遺体,および石庖丁,石剣など大陸系磨製石器,木製農具が発見されている。日本における水稲耕作開始期の状況を伝える極めて重要な遺跡である。
執筆者:高島 忠平
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佐賀県唐津(からつ)市菜畑字松円寺(しょうえんじ)の衣干山(きぬぼしやま)の東麓(とうろく)に派生する丘陵の先端部に営まれた縄文晩期の水田を伴う集落跡。1980年(昭和55)唐津市教育委員会が都市計画道路建設の事前の発掘調査を行った。住居跡、水田跡、貝塚を主体とする遺跡で、なかでも縄文晩期後半の水田、炭化米、農工具の発見により日本最古の稲作遺跡と確認された。遺跡は縄文前期・晩期、弥生(やよい)前期・中期と層序的に形成、縄文晩期の水田は畦畔(けいはん)、水路を伴う。栽培植物は米をはじめアワ、大麦、ソバ、ゴボウ、メロン、農工具は木製鍬(くわ)、石包丁(ぼうちょう)、石斧(せきふ)類、石鑿(のみ)、斧木柄(おのもくへい)、ほかに土器など豊富な遺物が出土している。83年、初期の稲作関係の遺跡として国の史跡に指定された。
[高島忠平]
佐賀県唐津市菜畑にある縄文・弥生時代の複合遺跡。最古期の水田跡として著名。唐津平野の西端,海岸砂丘の後背湿地へのびる低丘陵下にあり,1980・81年(昭和55・56)に発掘。丘陵裾部から低地にかけて住居跡と墳墓,小貝塚を検出。谷部の下層は縄文前・中期の包含層で,上部から縄文晩期後半(山ノ寺式期),晩期末(夜臼(ゆうす)式期),弥生前期初頭,前期後半,中期の遺物包含層と矢板列や低い畔で区画された水田跡を検出。山ノ寺式期の層からは水田跡,日本型の炭化米やアワ・アズキの畑作物,農具など各種の木製品,石包丁や片刃石斧・有茎石鏃などの磨製石器も出土。朝鮮半島南部から伝えられた初期水稲農耕文化を主体的に受容した縄文人の様相がわかる。現在は水田跡・竪穴住居などが復元され,公開されている。国史跡。
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