雅楽,管絃,舞楽の曲名。〈そこう〉ともいい,略して《蘇合》とも書く。唐楽にふくまれ盤渉(ばんしき)調。六人(あるいは四人)舞の文ノ舞(平舞)。唐楽の四箇(しか)の大曲(《皇麞(おうじよう)》《春鶯囀(しゆんのうでん)》《蘇合香》《万秋楽(まんじゆうらく)》)の一つ。番舞(つがいまい)は《進走禿》(あるいは《古鳥蘇(ことりそ)》《新鳥蘇》)。左方襲(さほうかさね)(常)装束の袍(ほう)を両肩ぬいで,下に着ている半臂(はんぴ)を見せながら舞う。頭には蘇合香という薬草の形を模した甲(かぶと)(菖蒲甲)をかぶる。昔,インドのアショーカ王が病気のとき,蘇合香を飲んで全快したのを王は喜び,育偈という大臣にこの曲を作らせたと伝える。また宮殿で蘇合香の葉を冠にしてこの舞を舞ったので香りが殿中にたちこめたという。演奏次第は盤渉調調子・音取(ねとり)-道行(舞人登場,出手(ずるて))-序(拍子不定)-三帖(さんのじよう)(延楽)-四帖(早楽)-五帖(早楽)-破(延四拍子)-急(延四拍子,序から急までが当曲舞)-急の重吹(しげぶき)(入手(いるて),退場)。舞の手に,足を中心にした部分と手の動きを中心にした部分とがある。また,序,三,四,五帖は一つの曲の中で拍子が定まらない特異な曲である。なお,管絃曲としては〈三帖〉〈破〉〈急〉が奏され,渡物(わたしもの)には黄鐘(おうしき)調に《蘇合急》がある。
執筆者:加納 マリ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…スタイレンとも呼ばれ,またスチロールstyrol,ビニルベンゼン,フェニルエチレンなどともいう。天然樹脂である蘇合香(そごうこう)styraxから発見されたのが名称の由来である。特異な芳香のある無色,引火性の液体で,空気中で燃えるとき芳香族化合物特有の黒いすす(煤)を出す。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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