虚心坦懐(読み)キョシンタンカイ

デジタル大辞泉 「虚心坦懐」の意味・読み・例文・類語

きょしん‐たんかい〔‐タンクワイ〕【虚心×坦懐】

[名・形動]何のわだかまりもないすなおな心で、物事にのぞむこと。また、そのさま。「虚心坦懐に話し合う」
[類語]無心無我無私滅私虚心純粋無念無想無欲

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精選版 日本国語大辞典 「虚心坦懐」の意味・読み・例文・類語

きょしん‐たんかい‥タンクヮイ【虚心坦懐】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) 心になんのわだかまりもなく、気持がさっぱりしていること。また、そのさま。虚心平気。
    1. [初出の実例]「娘とか女とかいふ意識を擲って、虚心坦懐(キョシンタンクヮイ)に話すことが出来た」(出典:桐畑(1920)〈里見弴好敵手)

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四字熟語を知る辞典 「虚心坦懐」の解説

虚心坦懐

心になんのわだかまりもなく、気持ちがさっぱりしていること。また、そういうさま。

[活用] ―な・―に・―だ。

[使用例] お前のいうのはもっともだ。こうけてしまえば、みんな同じことさ。日本の軍隊には色々悪いところがあったから敗けたのだ。これからは虚心坦懐、力を合わせて祖国再建に努めねばならぬ[大岡昇平りょ|1952]

[使用例] 虚心坦懐に、もう一ぺんこの画を見てくれ、と言うと、二人は虚心坦懐どころか、またこいつ平地に乱を起こす気かという顔で私の方を見た[小林秀雄真贋|1977]

[使用例] つねから山野を駆け、飛び道具も持っている山猟師相手にこんな拙劣な手は通用しない、となるとやはり虚心坦懐謝るしかない[町田康*宿屋めぐり|2008]

[解説] ものごとを考えるに当たって、とても大切な姿勢が「虚心坦懐」です。先入観偏見を捨てた、まっさらな心の状態を指すのが普通です。
 例文の[俘虜記]では、捕虜となった旧日本軍の大佐が「これからは古い考えにとらわれてはならない」という意味で使っています。また、[真贋]では、ある絵を本物と信じる仲間に対し、「もう一度、先入観を捨てて見直してほしい」という意味で使っています。
 一方、[宿屋めぐり]では、「あれこれ策略をめぐらさず、正直に謝る」という意味で「虚心坦懐」と表現しています。それまでの考えを捨てるという点で、最初の二つの用例と通じます。
 「虚心」とは、字のとおり、からっぽの心のことです。「坦懐」は少し難しいですが、「平坦」の「坦」に「おもい」という字を書いています。つまり、平らかな思いでいること。似たことばを二つ重ねた熟語だということがわかります。

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