蠲免(読み)ケンメン

デジタル大辞泉 「蠲免」の意味・読み・例文・類語

けん‐めん【×蠲免】

奈良平安時代課役一部あるいは全部免除すること。官位職務などによる常例のものと、災害慶事などの際に行われる臨時のものとがあった。

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精選版 日本国語大辞典 「蠲免」の意味・読み・例文・類語

けん‐めん【蠲免】

  1. 〘 名詞 〙 令制で、租・庸・調および雑徭の一部、または全部を免除したこと。官位・職務などによって免除する「常時の蠲免」と、外国にあった者、孝子・節婦、父母死去にあった者、災害・慶事・凶事のあった時、行幸に供奉した国郡、悠紀主基(ゆきすき)国、戦場になった国などを免除の対象とした「臨時の蠲免」があった。蠲除(けんじょ)。→蠲符(けんぷ)
    1. [初出の実例]「蠲免。〈謂。同令。応課役者。皆待蠲符。然後注免。是也〉」(出典令義解(718)職員)

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改訂新版 世界大百科事典 「蠲免」の意味・わかりやすい解説

蠲免 (けんめん)

古代の律令制において,課役(かえき)を免除すること。律令では課役の全部もしくは一部を負担するものを課口(課丁かてい))とよんだ。課口は一般には良民の成年男子(17歳以上65歳以下)であったが,そのなかでも,皇親と八位以上の者,五位以上の者の子(蔭子(おんし)),中度以上の身体障害者(廃疾(はいしつ)・篤疾(とくしつ))は課役を負担しない不課口とされた。また三位以上の父祖兄弟子孫と五位以上の父子は課役を免除された。初位以下の基本的な身分としては課口である者も,特定の職務等に就いている期間は課役の全部もしくは一部を免除された。例えば舎人,史生,伴部,兵衛,衛士,仕丁,防人,品部,雑戸などは課役を,郡司の主政・主帳,軍団の兵士,里長などは徭役を免除された。
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