広義には、犯罪の捜査、被疑者の逮捕などを目的とする司法警察に対する観念で、社会公共の秩序を維持するために規制を行う行政上の警察作用をさす。司法警察が刑事訴訟法規に従うのに対し、行政警察は各行政法規によって規律される。
狭義には、行政上の警察作用のうち、社会の安寧秩序を保持するために、他の行政作用とは関連なく、それ自体独立して行われる保安警察(たとえば、集会・結社・選挙・出入国・風俗・危険物などに対する規制を行う)に対し、行政作用に関連して行われる警察作用をさす。たとえば、衛生、交通、産業、建築などの行政分野における警察作用で、それぞれ衛生警察、交通警察、産業警察、建築警察などに区分される。
[阿部泰隆]
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…ここでは,国民は,子供=未成年者であり,警察は,国民=未成年者の保育者としてとらえられている。こうした考え方を背景にして,行政警察規則(1875年の太政官達)第1章1条は,〈行政警察ノ趣意タル人民ノ兇害ヲ予防シ安寧ヲ保全スルニアリ〉と規定したのである。このような警察の理解においては,それが,消極的作用であり,また国家作用であり,権力的作用であることが重視されており,かつ警察は国民の保育者でもあるとみる点に特徴があった。…
…74年1月警察行政は司法省から内務省に移管され,東京府下の警察を管轄する東京警視庁が創設された。これにともなって警察概念も行政警察と司法警察の二つに区別され,〈人民ノ凶害ヲ予防シ世ノ安寧ヲ保全スル〉行政警察が警察活動の中心にすえられた。創設当初の定員は6000人,その90%以上が士族で,とくに鹿児島県出身者の比重が高かった。…
…刑事に関する警察の活動のうち,犯罪が行われた場合に犯人や証拠を捜査し,被疑者を逮捕するなど,刑事司法作用に関係して警察の責務とされるものをいう。犯罪の予防,交通の取締り,その他国民の生命,身体,財産の保護および公共の安全と秩序の維持を目的としてなされる〈行政警察〉に対応する観念である(警察法2条1項)。〈司法〉の語を冠しているが,むろんそれ自体が司法権の内容をなすものではなく,性質上は行政作用に属する。…
※「行政警察」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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