(読み)ルイ

デジタル大辞泉 「誄」の意味・読み・例文・類語

るい【誄】[漢字項目]

[音]ルイ(呉)(漢) [訓]しのびごと
死者を弔い、生前業績などをたたえる言葉。「誄歌誄詩誄文

しのび‐ごと【×誄】

《「偲び言」の意。上代は「しのひこと」》死者の生前の功徳をたたえて哀悼の意を述べる言葉。誄詞るいし。るい。

るい【×誄】

死者の生前の功徳をたたえて、その死を悲しむこと。また、その文章。しのびごと。誄詞

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精選版 日本国語大辞典 「誄」の意味・読み・例文・類語

しのび‐ごと【誄】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「偲び言」の意。古くは「しのひこと」 ) 死者を慕い、その霊にむかって生前の功徳などを述べることば。死者に対する哀悼の辞。しぬびごと。るい。るいし。
    1. [初出の実例]「天皇、病彌留(おも)りて大殿に崩ましぬ。是の時に殯(もかり)の宮を広瀬に起(た)つ。馬子宿禰大臣刀(たち)を佩(は)いて誄(シノヒコト)たてまつる」(出典日本書紀(720)敏達一四年八月(前田本訓))

るい【誄】

  1. 〘 名詞 〙 死者を弔い、その人の生前の功徳をたたえて、哀悼の意を表わすこと。また、その文。しのびごと。
    1. [初出の実例]「従四位上当麻真人智徳、率誄人誄」(出典:続日本紀‐慶雲四年(707)一一月丙午)
    2. [その他の文献]〔晉書‐郗超伝〕

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普及版 字通 「誄」の読み・字形・画数・意味


13画

(異体字)
22画

[字音] ルイ
[字訓] しのびごと・いのる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は耒(るい)。〔説文〕三上に「諡(おくりな)するなり」とあり、生前の事功を述べて哀悼し、諡することをいう。〔論語、述而〕に「誄に曰く、爾(なんぢ)を上下(しやうか)のる」とあり、〔釈文〕に、〔説文〕は字をに作り、(るい)声に従う字であるという。その辞はわが国の祝詞のように、くりかえしや層累法の多い荘重な文体であったのであろう。

[訓義]
1. しのびごと、弔いの文。
2. いのる。

[古辞書の訓]
立〕誄 アラハス 〔字鏡集〕 イノル・カサナル

[語系]
(誄)・・壘(塁)liuiは同声。・累()・liuaiは声近く、みな重累の意がある。

[熟語]
誄讚・誄詞・誄
[下接語]
哀誄・箴誄・制誄・伝誄・読誄・銘誄

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改訂新版 世界大百科事典 「誄」の意味・わかりやすい解説

誄 (しのびごと)

古語シノフ(ときにシヌヒ)は,ほめる,慕い偲ぶ意。シノヒコトは,もとは寿詞(よごと)に通じ,死者を思慕することばの意。天平神護2年(766)正月の宣命に〈志乃比己止乃書(ふみ)〉とある。生前の徳を重ねて顕彰し,系譜や行跡を誦して哀悼する古代ギリシアの〈墓前の辞〉や中国の誄(るい)にも類し,その漢字をあてる。王族,貴族のほか,民間にも行われたが,《日本書紀》の敏達天皇の14年(585)敏達没後の殯宮(もがりのみや)(埋葬まで遺骸を置く仮宮)の儀礼の記事にみえるのが初見,のちには天武殯宮の儀礼に哭泣(こつきゆう)して哀しむ発哀の礼などと並んでくり返され,王権を強化する役割をも果たした。中国風に,誄して諡(おくりな)を定めたこともある。《貞慧(じようえ)伝》(奈良時代)に漢文の誄がのこるほか,《日本後紀》大同元年(806)桓武天皇没後の〈天地の共(むた)長く,日月の共遠く〉など漢文脈を日本化した誄句は,さかのぼって《万葉集》柿本人麻呂らの挽歌や讃歌の〈シノヒ〉にも通じる類型である。
執筆者:


誄 (るい)

(しのびごと)

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百科事典マイペディア 「誄」の意味・わかりやすい解説

誄【しのびごと】

貴人の死をいたみ,遺徳をしのぶ言葉。古代の葬制は不明な点が多いが,殯宮(もがりのみや)の儀式の時などに,各豪族,部曲(かきべ)から代表が出て,それぞれ伝来の誄を唱えたらしい。内容も初めは追悼の辞というより,故人の伝記の一部を語るに近いものであった。→

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【誄】より

…天平神護2年(766)正月の宣命に〈志乃比己止乃書(ふみ)〉とある。生前の徳を重ねて顕彰し,系譜や行跡を誦して哀悼する古代ギリシアの〈墓前の辞〉や中国の誄(るい)にも類し,その漢字をあてる。王族,貴族のほか,民間にも行われたが,《日本書紀》の敏達天皇の14年(585)敏達没後の殯宮(もがりのみや)(埋葬まで遺骸を置く仮宮)の儀礼の記事にみえるのが初見,のちには天武殯宮の儀礼に哭泣(こつきゆう)して哀しむ発哀の礼などと並んでくり返され,王権を強化する役割をも果たした。…

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