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誘導酵素 ユウドウコウソ

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デジタル大辞泉の解説

ゆうどう‐こうそ〔イウダウカウソ〕【誘導酵素】

細胞に特定の物質を加えることによって、生合成の速度が増す酵素。細菌や酵母における糖・アミノ酸の分解酵素など。適応酵素

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栄養・生化学辞典の解説

誘導酵素

 細胞に刺激が加わった場合に誘導されて合成される酵素.

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世界大百科事典 第2版の解説

ゆうどうこうそ【誘導酵素 inducible enzyme】

特定の物質の存在によって合成速度が増加する酵素群。生命の営む多彩な活動は多種多様な酵素によって支えられている。酵素の中でも生命の維持につねに必要なものは構成性constitutive酵素と呼ばれ,つねに一定量合成されている。これに対して環境条件の変化に応じて合成量が著しく変化する一群の酵素があり,これを誘導酵素という。例えば大腸菌の場合,ラクトース(乳糖)を炭素源として利用するために,ラクトースを細胞内にひき入れる透過酵素(ペルミアーゼpermease)やラクトースを分解してガラクトースグルコース(ブドウ糖)にする酵素(β‐ガラクトシダーゼ)が必要である。

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大辞林 第三版の解説

ゆうどうこうそ【誘導酵素】

細胞に特定の基質(誘導物質)を加えることによって、合成が誘導されたり、合成の速度が高められる酵素。例えば、大腸菌の培地中に乳糖を加えると、それを分解する酵素 β -ガラクトシダーゼが合成され、乳糖を培地から除くと酵素の合成は停止するなど。適応酵素。 → 構成酵素

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

誘導酵素
ゆうどうこうそ
inducible enzyme

細菌や酵母などにみられる現象で、これらの細胞に一定の物質(誘導物質)を与えたとき、特定の酵素タンパクの合成が急激に高まる一群の酵素をいう。かつては周囲の環境に適応するという意味で適応酵素ともよばれた。大腸菌のβ‐ガラクトシダーゼはその代表例である。大腸菌の場合、グルコースを栄養源(炭素源)として利用すると細胞当りのβ‐ガラクトシダーゼは10分子程度にすぎないが、ラクトースを唯一の炭素源として利用すると細胞当り数千分子の酵素量となる。
 誘導物質は一般に酵素反応系の出発物質またはその類似物で、その添加によって以下の全過程あるいは関連酵素群が順次誘導されることが多い。誘導による酵素レベル調節機構は、フランスの分子遺伝学者J・F・ジャコブと分子生物学者J・L・モノーによって詳しく研究された。1961年に彼らが提唱したオペロンモデルによると、一群の構造遺伝子および調節部位(オペレーターとプロモーター)からなるオペロンが遺伝子発現の作動単位となる。誘導物質は調節部位から生ずるリプレッサー(抑制物質)と結合することにより、リプレッサータンパク質とオペレーター部位との結合を妨げ、その結果RNAポリメラーゼがオペレーターを通り抜け、ラクトースオペロンを転写できるようになる。このように、誘導は転写(RNA合成)レベルでの遺伝子発現調節である。
 近年、高等動物細胞でも類似の現象がみつかっている。メタロチオネインは肝臓の解毒タンパクであるが、アメリカの生化学者パルミターRichard Deforest Palmiter(1942― )は、肝細胞が鉛や亜鉛などの有害重金属にさらされると、メタロチオネイン遺伝子の活性化がおこることを発見した。しかし、その誘導機構についてはまだ完全には説明されていない。動物細胞では、またメトトレキセートのような薬剤によるジヒドロホレートレダクターゼの増加も知られているが、これは遺伝子の増幅を伴うものであり、転写レベルで調節される誘導とは区別される。[入江伸吉]

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