五線記譜法で用いる変化記号の一種で、楽曲の調を示す。調子記号ともいわれる。各調の音階に含まれる派生音を嬰(えい)記号(♯、シャープ)と変記号(♭、フラット)で譜表の初めにまとめて記したもので、楽曲では音部記号(など)の次に毎段書かれる。調号は、その五線譜が続く間、音部記号の変化に関係なく、それがつけられた同音名の音すべて(同一音高だけでなく)に有効となる。なお、本位記号(♮)も転調時に調号の一つとして用いられることもある。また、短調における導音などの半音変化は臨時記号として記され、調号では示されない。
調記号のくふうは11~12世紀に端を発するが、現在のような調号の体系がほぼ確立したのは後期バロック以降のことで、古典派やロマン派の調性音楽には好都合であった。後期ロマン派になり、転調が頻繁に行われ、さらに調性自体が崩壊されると、調号はその意味をしだいに失っていく。現代音楽の作曲や諸民族の音楽の五線譜化に際しては、通常の調号とは異なるものが使用されることもある。
[柴田典子]
西洋音楽の記譜法において,音部記号や複縦線の後に記されて調を表す記号。ハ長調,イ短調は無調号,それ以外の調ではフラット(♭)かシャープ(♯)が使われ,♯が一つ増えるごとに5度上の調に,♭が一つ増えるごとに5度下の調となる。一つの調号で互いに平行関係の長短二つの調が表される。一般に長短各12調に対応する12の調号(無調号を含む)が基本であるが,異名同音で考えれば嬰ヘ長調=変ト長調のようにさらに三つほどが用いられる。
→5度圏
執筆者:土田 英三郎
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… 調性音楽の楽曲ないし楽章は中心となる一定の調(主調)をもち,途中で転調が生じても最後にはその主調で終結し,それによって安定した終止感が得られる。各曲の調の種類は,楽譜の曲頭,音部記号のあとに調号をもって表示される。たとえば変ホ長調とハ短調のように平行調関係にある二つの調は同じ調号をもつが,その場合には主音の位置によって調を区別することができる。…
…音符や休符はこれらの線上または線間に記されるが,5線の音域を上下に3度以上越える場合は,臨時に短い加線(かせん)が加えられる。譜表に付随する記号には,このほか音部記号,調号,拍子記号,縦線,複縦線,連結括弧(ブレース)などがある。音部記号によって特定の線の音高が定められ,自動的に他の線の相対音高と譜表全体の基本音域も確定される。…
…変化記号には幹音を半音高くする嬰記号(シャープsharp ♯),半音低くする変記号(フラットflat ♭),半音二つぶん高くする重嬰記号(ダブル・シャープ ),半音二つぶん低くする重変記号(ダブル・フラット ♭♭),それに以上のすべての変化記号の効力を消して派生音を幹音に戻す本位記号(ナチュラルnatural ♮)の5種がある。 変化記号の役割には調号と臨時記号の二通りがある。ハ長調やイ短調の自然的短音階を除く各調では,音階固有音(その調の音階を構成する各音)にも派生音が含まれるが,それらはふつう譜表の各段冒頭に調号としてまとめて表示される。…
※「調号」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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