愛知県中部、名古屋市に隣接する市。1972年(昭和47)市制施行。境川の右岸、尾張(おわり)丘陵上に位置する。名古屋鉄道本線、国道1号が東西方向に通じる。南部を国道23号が走り、伊勢湾岸自動車道豊明インターチェンジがある。古くは鎌倉街道、東海道沿いの町として開けた所。織田信長と今川義元(よしもと)が戦った桶狭間古戦場伝説地(おけはざまこせんじょうでんせつち)、阿野(あの)一里塚(ともに国指定史跡)など史跡に富む。古戦場の近くには中京競馬場がある。また、大脇神明社の祭礼で行われる梯子獅子(はしごじし)は県指定無形民俗文化財。第二次世界大戦前は近郊農村地帯であったが、戦後は名古屋市のベッドタウン化の様相を強めている。米作のほか、カキ、ブドウや野菜、またシクラメンや花苗の栽培が行われ、愛知豊明花卉(かき)地方卸売市場は日本有数の規模である。面積23.22平方キロメートル(境界一部未定)、人口6万9295(2020)。
[伊藤郷平]
『『豊明市史』全15巻(1975~ ・豊明市)』
愛知県中部の市。1972年市制。人口6万9745(2010)。西は名古屋市,東は境川を隔てて刈谷市に接する。古来,交通要衝の地で鎌倉街道,東海道沿いの街村として開け,現在も国道1号線,23号線,伊勢湾岸自動車道,名鉄名古屋本線が通じる。1960年代に入って急速な都市化が進み,名古屋市のベッドタウン的色彩が強まった。農業は兼業化が著しく,畜産,露地野菜,施設園芸などの複合経営が行われる。工業では金属製品,機械工業が盛んで,特に自動車関連企業が着実な伸びを示している。市の北端にある若王子(にやくおうじ)池には古墳時代の集落跡若王子池遺跡がある。名鉄中京競馬場前駅の南方200mの地には桶狭間(おけはざま)古戦場伝説地(史)があり,戦死者を葬ったという戦人塚も残る。伝統芸能として大脇の梯子獅子,上高根の棒の手が伝わる。
執筆者:溝口 常俊
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