朝日日本歴史人物事典 「豊竹麓太夫(初代)」の解説
豊竹麓太夫(初代)
生年:享保15(1730)
江戸中・後期の義太夫節の太夫。大坂雑喉場の生まれで,通称鍋屋宗左衛門という素人出身。初代豊竹駒太夫の門弟。宝暦7(1757)年に豊竹座初出座。山の麓と謙遜した名。文化14(1817)年88歳まで出座記録があり,まれなる長寿。声域が広く,腹力は強くて声量もあり,表現力豊かだったようで,「絵本太功記」の「尼ケ崎の段」,「日吉丸稚桜」の「小牧山城中の段」,「蝶花形名歌島台」の「小坂部館の段」,「八陣守護城」の「正清本城の段」にその特色が伝わるといわれ,綺麗ごとでなく線を太く語る。派手な東風線上にあり,細部的にはギンの音をにじらせるのも「麓太夫風」。
(高木浩志)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報