天球座標の一種。天の赤道と春分点を基準として天球上の天体の位置を表す。地球の経度・緯度と類似している。まず、緯度に相当する座標は、天の赤道から時圏(後述)に沿って天体まで測った角(度、分、秒などの単位の角度で表す)で、赤緯とよばれる。次に経度に相当する角であるが、赤道座標では赤経とよばれ、天の赤道上の一定点―春分点を起点として東回りに測る。詳しくいうと、天の南北両極(地球自転軸と天球との交点。天の赤道はこれらと90度離れたところを通る大円)と天体とを通る大円(時圏という)が天の赤道と交わる点まで赤道に沿って春分点から測った角が赤経である。赤道座標に付随して、時角、恒星時などがある〔 にみるように、子午線とは、天の南北極と観測者の天頂とを通る大円〕。赤道座標はその特性上、天体の位置・運動の観測にもっとも便利なもので、宇宙の基本座標系として採用されている。ただし、歳差・章動のため、天の両極(したがって天の赤道)および春分点は時々刻々移動しており、天体がたとえ運動していなくても、その赤経・赤緯の数値は変わっていく。ゆえに赤道座標で恒星、星団、星雲、銀河などの位置を表すときは、「いつの赤道座標か」という特定の時点(これを「元期」という)を明らかにしておかなければならない。
[大脇直明]
『長沢工著『日の出・日の入りの計算――天体の出没時刻の求め方』(1999・地人書館)』
赤道面を基準にとった球面座標で,赤道を緯度0°としてはかり,北90°が北極,南90°が南極である。地球上では経度の原点をイギリスのグリニジ天文台を通る大円にとってこの経度を0°とし,この大円から東へはかった経度差を東経と呼び,西へはかったものを西経と呼んでいて,それぞれ180°まである。国際測地学協会や国際天文学連合の規約によれば,西経を使用しないで,東経を360°まで用いて地球上の経度を示すことになっている。天球上では経度の原点を南北両極と春分点を通る大円にとって,地球上の東経と同じ方向にはかり,15°を1時,15′を1分,15″を1秒という単位にして,0時から24時までにしたものを赤経と呼び,緯度の場合はそのままで北緯を+とし,南緯を-として赤緯と呼んでいる。星に対する赤道や春分点の位置は歳差,章動によって変化するので,見かけのものを視赤経,視赤緯と呼び,変動分をならしたものを平均赤経,平均赤緯と呼んでいるが,この場合はその時刻を指定しなければならない。星図や星表は平均赤経,平均赤緯を表示したもので,現在出版されているものは2000.0年に対するものが大部分である。将来は月,惑星,すい星などの太陽系内を運動する天体の軌道を表現する軌道要素は黄道を基準にしているが,人工衛星の軌道要素は赤道を基準にしたものになっている。しかし,月,惑星などの太陽中心にとった位置を直交座標で示すことが近年多くなっているが,この場合は春分点の方向にx軸をとり,赤道面で6時の方向をy軸に,北極の方向をz軸にした赤道座標である。
執筆者:近藤 雅之
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…球面天文学は天文学の諸分野の中でもっとも早期に発達した基礎的分野であり,とくにすべての天文観測に直結している。 天球座標には観測者の地平線に固定された地平座標と,天球に固定されて天球とともに回転する赤道座標,黄道座標,銀河座標がある。黄道座標は太陽系天体の位置や運動を表すのに使われ,銀河座標は銀河系の研究に使われる。…
※「赤道座標」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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