足高(読み)たしだか

日本大百科全書(ニッポニカ)「足高」の解説

足高
たしだか

1723年(享保8)江戸幕府制定した一種の役料。原則として大名の役職は対象外であるが、幕府の主要な役職について、それぞれ相当する俸禄(ほうろく)の基準を設定し、その役職に勤める者の家禄が基準に満たない場合、在職中に限りその基準額まで加給する制度。これによって幕府は加増による世襲家禄の財政負担の増大を回避しつつ、人材登用が可能になり、要職に抜擢(ばってき)された者も、在職中は相応の収入が得られるので、昇進による諸経費負担の増加に堪えられるようになったが、役職者の収入における世襲家禄の比重を低下させ、封建的俸禄制度を変質させる改革であった。足高の支給の対象は、この後1724年、31年、38年(元文3)と拡大されていった。

[辻 達也]

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精選版 日本国語大辞典「足高」の解説

たし‐だか【足高】

〘名〙
① 江戸幕府の職俸制度。八代将軍吉宗が人材登用のため、低い家祿の者が高い職についた際、在職中にかぎって、その不足額を増給した、その補給高をいう。享保八年(一七二三)に制定。
享保通鑑‐享保八年(1723)六月「御役勤候内、御足高被仰付
② 江戸時代、知行割の際に、一村または数村に所要の高に不足がある時、隣村から一部の高だけを補うこと。また、その補給高。

あし‐だか【足高】

[1] 〘形動〙 足の丈が高いこと。足が長く見えるさま。
※枕(10C終)一五一「にはとりのひなの、あしだかに、しろうをかしげに、衣みじかなるさまして」
[2] 〘名〙
① 足の高い器物。
※大石寺本曾我物語(南北朝頃)一〇「彼等が首を足高に入て曾我の里へ送葬せよ」
② 踏み台。〔竹屋雑抄(江戸後)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「足高」の解説

足高
たしだか

江戸時代,幕府が役人に対して与えた一種の俸禄。享保8 (1723) 年制定。役職に就任する者の世禄が役高に達しない場合,その不足分を在職中に限って加給した。若年寄を除くほとんどの要職に行われ,微禄の者で有用な人材を登用するのに役立つとともに,役料の世襲による財政の膨張を押える効果があった。 (→享保の改革 )  

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百科事典マイペディア「足高」の解説

足高【たしだか】

江戸時代の俸禄制度。幕府の役職につく際,家禄がその役高に及ばないとき,不足分を在職中に限り支給,その支給分を足高という。1723年8代将軍徳川吉宗が採用し,幕末まで続いた。幕府財政の負担は軽減し下級で有能な士の登用が可能になった。→役料
→関連項目享保改革役高

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デジタル大辞泉「足高」の解説

あし‐だか【足高/脚高】

[名・形動ナリ]《「あしたか」とも》足の長いこと。また、そのように見えるさま。
「白き鳥どもの―にて立てまつるも」〈栄花・根合〉

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世界大百科事典 第2版「足高」の解説

たしだか【足高】

江戸幕府において,役付幕臣の知行俸禄の高が各役職の基準石高に及ばない場合,その差額を加給したことをいう。当初,役についた者に対する特別の給与はなかったが,その経済的窮乏にともない,1665年(寛文5)から翌年にかけ,それぞれの役に応じた役料が支給されることになった。この制度は82年(天和2)在職者に役料の分を加増していったん廃止されたが,元禄期(1688‐1704),一部の役職に再び役料が支給されるようになり,92年には各役職の基準の高を定め,禄高が基準に達しない役人に対してのみ一定額の役料が与えられることになった。

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世界大百科事典内の足高の言及

【役料】より

…その後82年(天和2)在職者に役料の分を加増し,役料支給をいったん停止したが,89年(元禄2)より一部の役職就任者に再び役料を給するようになり,92年各役職の基準石高を定め,持高がこれに及ばない場合に一定の役料を与えることとした。この制度が発展して1723年(享保8)に足高(たしだか)制が制定されたが,遠国(おんごく)役人などには足高に加えて役料も支給された。なお役料は切米(きりまい)と同じく春,夏,冬の3季に米金で給与された。…

※「足高」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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