蹴上(読み)ケアゲ

デジタル大辞泉 「蹴上」の意味・読み・例文・類語

けあげ【蹴上】

京都市東山区地名。旧東海道山科から京都市中に入る交通要地琵琶湖疏水開通の際、インクライン発電所が設けられた。

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精選版 日本国語大辞典 「蹴上」の意味・読み・例文・類語

け‐あげ【蹴上】

  1. 〘 名詞 〙
  2. けあげること。また、けあげたもの。特に、蹴鞠でいう。また、人や馬などが足でけった泥。はね。
    1. [初出の実例]「けあげを人よりかけられ候はば、うけ取て一ツもおとさぬ事にて候」(出典:松下十巻抄(1531))
    2. 「行違ふ坂にて少人の蹴上(けあ)げ彼の法師が水衣にかかりけり」(出典:歌舞伎・小栗十二段(1703)一)
  3. 足がかりとして踏みあがるところ。一段高くなったところ。
    1. [初出の実例]「胡麻竹打った駒寄の、蹴上(ケア)げの開戸付けたるは」(出典:人情本・恩愛二葉草(1834)三)
  4. 階段の一段の高さ。踏面と踏面との垂直距離。〔すまいの四季(1956)〕
  5. けあげろどこ(蹴上櫓床)」の略称。

けあげ【蹴上】

  1. 京都市東山区、左京区山科区が接するあたりの地名。日ノ岡峠西側のふもと、三条通の東端にあり、東海道から京都への入り口にあたる。江戸時代には井筒屋、弓屋など多数の茶店が並んでいた。琵琶湖疏水の水を利用する上水道の浄水場、駅名などとして地名が残っている。蹴挙。蹴揚。

け‐あがり【蹴上】

  1. 〘 名詞 〙 器械体操一つ鉄棒にぶらさがり、前にあげた両足を後にけって、反動でからだを鉄棒の上に支える状態にする技。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蹴上」の意味・わかりやすい解説

蹴上
けあげ

京都市東部、東山(ひがしやま)区の一地区。旧東海道が、山科(やましな)盆地から日岡(ひのおか)峠を越えて京都市街地へ入る地にあたり、古来からの交通の要地で、現在は市営地下鉄東西線が通じ、京阪電鉄京津線が東西線に乗り入れている。1890年(明治23)琵琶湖疎水(びわこそすい)の貫通にあたって、蹴上船溜(ふなだまり)から急勾配(きゅうこうばい)の斜面を、船を船台に載せて軌道上を上下させたインクライン(国指定史跡、所在は左京区)や、わが国最初の水力発電所が設けられた。現在は蹴上浄水場(施設の大部分は山科区にある)、ウェスティン都ホテル京都があり、南禅寺なども近い。

[織田武雄]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蹴上」の意味・わかりやすい解説

蹴上
けあげ

京都府京都市の市街地東部,東山の山麓部の一地区。東山区左京区にまたがる。地名は,源義経が金売吉次と奥州に向かった際,美濃の武士の一人が湧水を蹴り上げたことが原因で争いになったことに由来する。東海道(旧国道1号線)が東から峠を越えてきて,京都市街へ入る地点にあたる。1890年に琵琶湖疏水が通じ,インクラインと日本最初の水力発電所が設けられた。蹴上浄水場もある。近くには南禅寺,岡崎公園などがある。京阪電鉄京津線(けいしんせん)が通る。

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世界大百科事典(旧版)内の蹴上の言及

【ケーブルカー】より

… ケーブルカーは19世紀後半,山岳観光の普及に伴ってスイス地方で発展,日本では旅客用としては1918年奈良県生駒山につるべ式のケーブルカーが開通したのが最初である。ただし鉱山用の循環式は明治年間から広く用いられており,また琵琶湖疎水の完成(1890)に当たり,京都市蹴上(けあげ)に設置されたインクラインは,車両上に舟を積みとる大規模な循環式ケーブルカーであり,遺構は保存・展示されている。【中川 浩一】【八十島 義之助】。…

※「蹴上」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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