(読み)ジョク

デジタル大辞泉 「辱」の意味・読み・例文・類語

じょく【辱】[漢字項目]

常用漢字] [音]ジョク(漢) ニク(呉) [訓]はずかしめる はじる はじ かたじけない かたじけなくする
体面を傷つけ、くじけた気持ちにさせる。はずかしめ。はじ。「栄辱汚辱屈辱国辱雪辱恥辱侮辱
相手から好意を受けることをへりくだっていう語。「辱交辱知辱友
難読忍辱にんにく

にく【辱】[漢字項目]

じょく

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精選版 日本国語大辞典 「辱」の意味・読み・例文・類語

じょく【辱】

  1. 〘 名詞 〙
  2. はずかしめ。はじ。
    1. [初出の実例]「栄と云辱と云事は衣食の事かけぬほどにあっての沙汰そ」(出典:史記抄(1477)一九)
    2. [その他の文献]〔史記‐管仲伝〕
  3. かたじけない意向。
    1. [初出の実例]「余就于兵部第、懇説府命之辱」(出典空華日用工夫略集‐永和二年(1376)八月一九日)

はずかしめはづかしめ【辱】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「はずかしめる(辱━)」の連用形名詞化 ) はずかしめること。不面目な思い。はじ。恥辱。
    1. [初出の実例]「さもなくば我(わが)りゃうかんくちざる内に、しょく人のためにはづかしめをごらんあるべし」(出典:黄表紙・辞闘戦新根(1778))

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普及版 字通 「辱」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音] ジョク
[字訓] くさぎる・はずかしめる・かたじけない

[説文解字]

[字形] 会意
辰(しん)+寸。辰は貝。その貝殻をうち砕いて刃器とし、それを手(寸)にもつ形。農具として用いる。「耕耨(こうどう)」の耨は、耒(すき)と辱とに従い、耕作することをいう。〔説文〕十四下に「恥づるなり。寸の、辰の下に在るに從ふ。時を失ふときは、封(疆)上に於て之れを戮(ころ)すなり。辰なるは、農の時なり。故に星を辰と爲す。田つくる候(とき)なり」と説くが、まったく根拠のない説である。汚辱の意はおそらく仮借。〔左伝〕に「辱(かたじけな)く寡君を收めよ」「辱く敝邑に至る」のように、一種の自謙・尊敬の語として用いる。尊者に対して、敢てすることを詫びる意味の用法で、のち恥辱の意に転じたものであろう。交友を辱知・辱友といい、許されることを謝して辱収という。

[訓義]
1. くさぎる。
2. はずかしい、はずかしめる。
3. かたじけない、かたじけなくする。
4. うしなう、けがす、にくむ。

[古辞書の訓]
名義抄〕辱 ハヅ・ハヂ・ハヅカシ・ハヂシム・ハヅカシム・カタジケナシ・マネク・ケガス 〔字鏡集〕辱 ハヂ・ハヅ・ハヂシム・ハヅカシ・ケガス・マネク・カタジケナシ・チノム

[声系]
〔説文〕に辱声として・溽・縟など五字を収める。は草を結んだむしろ、溽は溽暑。おおむね繁縟の意をもつ字である。

[語系]
辱njiok、黷・dokは声の関係がある。辱は耕耨の字であるが、古くは黷声の語と通用し、のち黷辱(とくじよく)の義が、その通義とされたのであろう。

[熟語]
辱愛・辱汚・辱荷辱禍・辱害・辱・辱交・辱行辱詬・辱残・辱子辱仕・辱収・辱状・辱身・辱知・辱恥辱到辱詈辱臨
[下接語]
栄辱・汚辱・悪辱・含辱・屈辱・譴辱・垢辱・詬辱・国辱・困辱・恨辱・挫辱・自辱・守辱・衆辱・羞辱・誚辱・折辱・雪辱・大辱・撻辱・恥辱・笞辱・黜辱・辱・廷辱・忍辱罵辱・剝辱・煩辱・卑辱・侮辱・幽辱・憂辱・辱・戮辱・凌辱

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