物品運送の取次をなすことを業とする者(商法559条)。その営む業が運送取扱営業である。運送取扱人は,運送品発送人の計算において,かつ自己の名において運送契約を締結する。取次を業とする点では問屋(といや)と同じだが,物品運送の取次である点,売買の取次たる問屋と異なる(特別の規定がある場合以外は問屋に関する規定が準用される)。運送機関が発達して複雑多様化し,また運送の距離が伸長してくるにしたがい,適切な運送人や運送方法を迅速に選択するために,運送依頼者と運送人との間に介在して取次行為をなす者として運送取扱営業が発達したのである。沿革的には,中世以来発達した問屋営業から分化したものである。運送取扱人は,発送人のために適切な運送人を求めてこれと運送契約を結ぶことをその中心業務とするが,そのほかに運送品の荷造り・保管・引渡し,運送の中継,必要書類の準備等,運送に付随する義務をも負う。なお,運送取扱いの専業者は実際上少なく,運送取扱営業のほかに,運送営業自体や,倉庫寄託の引受けをしたり,また海港都市の運送取扱人の場合には,海上運送の仲立人や代理店となることが多い。なお,旅客運送の取次は準問屋であるが(558条),商法に直接規定がない。旅行者のため,運送または宿泊のサービスの取次を業とする者については,旅行業法(1952公布)が規整している。
運送品が滅失・毀損・延着した場合,運送取扱人は,運送品の受取り・引渡し・保管等について注意を怠らなかったことを証明しなければ損害賠償の責任を免れないとされ(商法560条),物品運送人と類似した責任を負う。
→通運事業
執筆者:石田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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