道観(読み)ドウカン(英語表記)dào guān

デジタル大辞泉 「道観」の意味・読み・例文・類語

どう‐かん〔ダウクワン〕【道観】

道教寺院道士のいる建物。観。
仏語。人を感化して善に導くことと、みずからくうの理を悟ること。化道けどう空観

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精選版 日本国語大辞典 「道観」の意味・読み・例文・類語

どう‐かんダウクヮン【道観】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「観」は高い建物の意 ) 道教の寺の堂塔。道士の住む楼。
    1. [初出の実例]「綱常因孔述、受習入槐林、変転聃公授、依伝道観臨」(出典:三教指帰(797頃)下)
    2. [その他の文献]〔事物紀原‐七〕
  3. 仏語。化道と空観。すなわち、他を教化する化導(けどう)の道と、自ら空理を悟る観法との称。〔摩訶止観‐六・下〕

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改訂新版 世界大百科事典 「道観」の意味・わかりやすい解説

道観 (どうかん)
dào guān

中国で,道教の道士が居住して修行し,祭儀を行うところ。治,館,観,庵,宮,廟などともいう。その起源は後漢末に成立した五斗米道(天師道)教団の置いた24治にあるといわれる。以後南北朝時代を通じて,南朝では宋の陸修静の崇虚館,簡寂館,斉の孫遊岳の興世館,梁の陶弘景の華陽館などがあるが,いずれも館と称しおおむね民間道士の個人的修行道場であった。一方,北朝では北魏の終南山の楼観を初めとしておおむね観と称し,寇謙之の新天師道以来の国家権力との強い結びつきを反映して,北周の玄都観や国立宗教研究所とでもいうべき通道観およびその後身の隋の玄都観などの国立の道観が次々と建てられた。唐代になると太清宮などとくに大きな道観を宮と称するようになった。全真教が成立した金以降は,天下の道観は北京の白雲観総本山とする全真教系と,江西省の竜虎山を総本山とする天師道系とに大別されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「道観」の意味・わかりやすい解説

道観
どうかん

道教の神々を奉祀(ほうし)し、道士が祭儀を営む建物。仏教の寺院に相当する。観とは楼観すなわち高い楼閣からおこった名称。たとえば長春宮、碧霞(へきか)宮や、白雲観、玄妙観などの称があり、あわせて宮観(きゅうかん)という。宮も観もいずれも規模が大きくて格式のある道観につけられる。また東岳廟(とうがくびょう)、関帝(かんてい)廟などのように廟と称するものもある。これは王室宗廟と同じく祖霊を祀(まつ)る祠堂(しどう)であるが、一般には道教系に限らず、民間信仰の小祠や仏教の寺院まで広げて汎称(はんしょう)する。ほかに道院の称もあり、道士修行の場所の意に用いられる。道観や廟は道士が住持するのがたてまえであるが、正規の道士が少ない地方では、仏教の和尚(おしょう)が住することもあった。中華民国時代の廟産整理や革命以後の反迷信政策から、多くの道観は廃絶するか、もしくは兵営、役場、民居などに転用されていたが、文化大革命以後、それらのうち文化史跡として貴重か、または観光用として必要なものは復旧して開放されることになった。

[澤田瑞穂]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「道観」の意味・わかりやすい解説

道観
どうかん
dao-guan

中国,道教の道士が居住し,修行する建物。神像を置いて祭祀を行う建物の「廟」や「宮」の意味で使われることもある。南北朝の道教の教団組織の成立に伴って,道観も整備され,唐,宋時代には全国的に普及した。金のとき全真教が興ってから,元,明,清を通じて道観は全真教系と天師道系 (→五斗米道 ) の二大派に分れた。北京の白雲観は,全真教の総本山として有名。また民間の関帝廟,娘々 (じょうじょう) 廟,城隍廟なども道観の一種である。

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旺文社世界史事典 三訂版 「道観」の解説

道観
どうかん

道教の寺院
後漢末に五斗米道教団の設置した施設を起源とするが,南北朝時代に道教が宗教として成立すると,仏教にならって造られるようになり,唐代には帝室の尊崇を受けて官立の道観も造られた。

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普及版 字通 「道観」の読み・字形・画数・意味

【道観】どうかん

道教の寺。

字通「道」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の道観の言及

【寺院建築】より

…このように,インドシナにおいてはクメール建築のおよぼした影響は大きい。【伊東 照司】
【中国】
 中国の宗教建築には,国家自身が挙行する祭祀儀礼のための壇や,政治教理に直接かかわりをもった儒教の廟を別として,仏教の寺,道教の道観,イスラムの寺院(モスク),および各種の民間信仰の祠廟などさまざまなものがある。また,実例はすでに失われたが,歴史上には景教(キリスト教ネストリウス派),マニ教,祆教(けんきよう)(ゾロアスター教)などの寺院が建てられた時期もあった。…

※「道観」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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