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郷土教育 きょうどきょういく Heimaterziehung

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

郷土教育
きょうどきょういく
Heimaterziehung

郷土が自然的,文化的,社会的諸側面においてもつ教育的価値を重視する教育的主張または実践をさし,理論的には諸説がある。ヨーロッパでは 17世紀にさかのぼるが,日本では明治後期に郷土科として試みられ,昭和初期には世界的恐慌の影響から農村を守るため文部省によって奨励され,各学校で郷土室の設置,郷土調査,郷土読本の編集などが盛んになった。

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デジタル大辞泉の解説

きょうど‐きょういく〔キヤウドケウイク〕【郷土教育】

郷土の自然や生活・文化に具体的な教材を求め、郷土への愛情と理解を育成することを目標とした教育。

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世界大百科事典 第2版の解説

きょうどきょういく【郷土教育】

郷土の自然や生活,文化を教材とすることによって教授・学習を直観化するとともに,郷土愛ひいては祖国愛を育てることを目的とする教育。日本の郷土教育は,明治初期ペスタロッチ直観教授(実物教授)の思想に基づいて,郷土教材を利用した地理教育理科教育にはじまる。その後,歴史教育でも〈郷土史談〉の名のもとに郷土史が通史学習の導入として利用されるようになった。このような郷土教育は,郷土すなわち身近な生活の場に教材を発見し,それを授業に利用するという教育方法に重点がおかれたものであった。

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大辞林 第三版の解説

きょうどきょういく【郷土教育】

郷土を愛し積極的に奉仕する人間を形成することを目的として、郷土を教材として行う教育。昭和初期に盛行。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

郷土教育
きょうどきょういく

人々がそこに居住し社会生活を営む自然的・社会的環境である郷土と個々人とには、特殊な関係があるという考えから、郷土に教育的意義がみいだされ、郷土教育が提唱される。
 その教育的意義は大別して二つある。
(1)方法としての郷土教育 どの教科も学習者に身近な郷土の自然や文化から内容・教材が取り出され、当該教科の入門的役割を果たすべきであると考える。ここでは、学習者が教材を直接手に取り、見たりできる実物性や直観性、また日々その教材に興味・関心をもっていることに教育的意義があると考える。
(2)目的としての郷土教育 ここでも教科の内容や教材が郷土から取り出されるが、学習者が郷土に居住・生活していることで、学習者が郷土と心情的関係を自然にもつと考え、その心情を郷土の学習によって郷土愛や愛国心に育成しようとする。[池野範男]

沿革

日本では郷土教育は明治初期にペスタロッチの直観教授や実物教授の影響を受け、方法としての郷土教育が、地理教育や理科教育の初歩教育として始まった。明治20年代には、歴史教育にも通史学習の導入として郷土史を位置づけ、方法としての郷土教育が取り入れられた。大正期に入ると、児童中心主義の影響を受け、学習者の生活経験の発展が思考や認識をつくりだすという考えから、経験を生み出す場である郷土生活そのものを学習する目的としての郷土教育が展開された。この郷土教育は昭和期に入ると、恐慌で貧窮した郷土を現実的に直視し、その生活を打開する主体的な人間育成を目ざし、その方法において生活綴方(つづりかた)と結び付ける郷土教育に発展したが、農村の自力更生運動という政府の政策と結び付き、国家に奉仕するために郷土を学習する国家主義的教育に包摂された。
 第二次世界大戦後、新教科社会科で「地域社会」の名のもとで郷土はふたたび脚光を浴びたが、郷土を目的としてとらえるか、方法としてとらえるかの対立はいまなお続いている。教育が知識だけでなく、態度育成をも課題にし、全人格を志向するならば、子供たちが日常かかわっている郷土や地域に教育力を求める郷土教育(地域に根ざす教育)は、今後とも展開される必要があろう。[池野範男]
『海老原治善著『現代日本教育実践史』(1975・明治図書出版) ▽桑原正雄著『郷土教育運動小史』(1976・たいまつ社) ▽中川浩一著『近代地理教育の源流』(1978・古今書院)』

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世界大百科事典内の郷土教育の言及

【地理教育】より

…明治末期になると,教育内容についての論議は少なくなり,教授法に関心が集中する傾向が強まり,中等教育においても教授要目が定められ,内容そのものは画一的になった。 大正期に入ると,児童の興味や理解度を重視する教育思潮が高まるとともに地理学自体の進歩の影響もあって,地理は暗記するものではなく,直観的な教材教具(さし絵や帯グラフなど)を使って教授されるべきものと主張され,また郷土教育の思潮も普及し,再び多数の郷土地誌類が刊行されるようになる。ただし,かつて提唱されたように地理の基礎観念を培うというよりは,郷土意識・郷土愛の涵養ということに重点がおかれていた。…

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