鄭孝胥(読み)テイコウショ

デジタル大辞泉 「鄭孝胥」の意味・読み・例文・類語

てい‐こうしょ〔‐カウシヨ〕【鄭孝胥】

[1860~1938]中国末・満州国政治家福建省閩侯びんこう県の人。あざな蘇戡そかん。清末の立憲運動、鉄道国有化政策に参画。1924年以後、宣統帝教育に当たり、32年、満州国の国務総理に就任。チョン=シアオシュイ。

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精選版 日本国語大辞典 「鄭孝胥」の意味・読み・例文・類語

てい‐こうしょ‥カウショ【鄭孝胥】

  1. 中国、清末から満州国時代にかけての政治家。字(あざな)は蘇龕(そかん)日清戦争まで公使館書記官、神戸大阪総領事として在日。帰国後、立憲運動、鉄道国有化政策に参画したが、辛亥革命で失敗。のち、天津清朝再興を策動。一九三二年、満州国成立とともに、国務総理となった。(一八五九‐一九三八

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鄭孝胥」の意味・わかりやすい解説

鄭孝胥
ていこうしょ / チョンシヤオシュイ
(1859/1860―1938)

中国、清(しん)末、「満州国」の政治家。字(あざな)は蘇戡(そかん)。福建省福州の人。清末進士。1891年(明治24)来日して神戸大阪総領事に就任。1903年から2年間、広西辺務督辦(とくべん)として湖北新軍を統率。1907年官を辞し、張謇(ちょうけん)らと上海(シャンハイ)に予備立憲公会を創設し、立憲運動を進めた。その後、盛宣懐(せいせんかい)の幕下に入って鉄道国有策を建議し、湖南布政使に任ぜられてその実施を図ったが、辛亥(しんがい)革命により挫折(ざせつ)した。以後上海で商務印書館董事(とうじ)の職にあり、1924年以後は天津(てんしん)で宣統帝の教育に従事した。「満州国」設立に参加して国務総理となり、帝制施行後、国務総理大臣に就任。1935年官を辞した。民国一流の詩人書家でもあった。

[石島紀之]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鄭孝胥」の意味・わかりやすい解説

鄭孝胥
ていこうしょ
Zheng Xiao-xu

[生]咸豊10(1860)
[没]1938
中国,清末,民国の政治家,学者,文人。 閩県 (福建省) の人。字は蘇戡,蘇龕,太夷。号は海蔵。光緒8 (1882) 年の挙人外交官を経て張之洞の幕僚となり,鉄道,造兵などの役につき,また立憲運動にも参加,「予備立憲公会」の領袖となった。のち錫良や盛宣懐のもとで借款導入,鉄道国有策を推進,湖南布政使となった。辛亥革命後,退位した宣統帝溥儀の教育に従事し,復辟運動に参加,1932年満州国が成立するとその国務総理となった。詩人としては陳三立と並び称され,江西詩派最後の大家とされる。詩集に『海蔵楼詩集』がある。書家としても有名で,顔真卿,柳公権,黄庭堅や北碑を学び,楷書,行書にすぐれる。

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改訂新版 世界大百科事典 「鄭孝胥」の意味・わかりやすい解説

鄭孝胥 (ていこうしょ)
Zhèng Xiào xū
生没年:1860-1938

中国,清朝の旧臣,書家。福建省閩(びん)県の人。字は太夷,号は蘇龕。光緒8年(1882)郷試の首席。総領事として神戸に在住したが,日清戦争のため帰国。満州事変後は溥儀を助け,満州国国務総理となった。すぐれた儒学者として王道の実現を理想としたのは有名であるが,また詩書をよくし,とりわけ書は,古樸な独自の風格が世人に愛された。書室を海蔵楼といい,《海蔵楼詩集》などの著がある。
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百科事典マイペディア 「鄭孝胥」の意味・わかりやすい解説

鄭孝胥【ていこうしょ】

中国,清末民国初期の政治家。福建省の人。1882年の挙人。初め外交面で,のち張之洞盛宣懐のもとで鉄道行政に活躍した。1924年以降溥儀の教育を担当し,満州国の初代国務総理。著書《海蔵楼詩集》《孔教新編》など。書家としても著名。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「鄭孝胥」の解説

鄭孝胥 てい-こうしょ

1860-1938 清(しん)(中国)の外交官,政治家。
咸豊(かんぽう)10年閏(うるう)3月12日生まれ。神戸大阪総領事をつとめ,のち上海で実業に従事しつつ立憲運動を展開。辛亥(しんがい)革命後は清朝の復興をめざし愛新覚羅溥儀(あいしんかくら-ふぎ)の教育にあたる。1932年満州国初代国務総理となるが,1935年辞任。1938年3月28日死去。79歳。江蘇省出身。

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