酸化錫(読み)サンカスズ(英語表記)tin oxide

デジタル大辞泉 「酸化錫」の意味・読み・例文・類語

さんか‐すず〔サンクワ‐〕【酸化×錫】

錫の酸化物。酸化錫(Ⅱ)(酸化第一錫)SnOは黒色粉末。酸化錫(Ⅳ)(酸化第二錫)SnO2白色粉末。いずれも水に溶けにくい。天然には錫石として産出し、乳白ガラス・エナメル製造などに使用

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精選版 日本国語大辞典 「酸化錫」の意味・読み・例文・類語

さんか‐すずサンクヮ‥【酸化錫】

  1. 〘 名詞 〙 錫の酸化物。
  2. 酸化第一錫。化学式 SnO 正方晶系、黒色の粉末。酸にもアルカリにも溶ける両性酸化物還元剤として用いる。
  3. 酸化第二錫。化学式 SnO2 白色の粉末。天然には錫石として産出。化学薬品と反応しにくい。乳白ガラスやエナメルに用いられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「酸化錫」の意味・わかりやすい解説

酸化スズ(錫) (さんかすず)
tin oxide

酸化スズ(Ⅱ)および酸化スズ(Ⅳ)がよく知られている。

化学式SnO。シュウ酸スズ(Ⅱ)SnC2O4を二酸化炭素気流中で熱するか,塩化スズ(Ⅱ)SnCl2のアルカリ性溶液を煮沸して得られる水酸化スズ(Ⅱ)Sn(OH2を酸素と接触しないように注意して100℃で脱水すると得られる黒色ないし灰色の粉末。比重6.44。水素中で熱すれば金属スズに,また空気中で熱すれば酸化スズ(Ⅳ)になる。水,希アルカリ,アンモニア水には溶けないが,酸,強アルカリ溶液には溶ける。

化学式SnO2。天然にはスズ石として産し,スズの原料鉱石となる。スズを空気中で強熱したり,硝酸を作用させて生ずるβ-スズ酸メタスズ酸)の沈殿灼熱,脱水するほか,4価のスズ塩を水に溶かし微アルカリ性としたとき生ずる沈殿を加熱しても得られる。酸化スズ(Ⅳ)は一般に無色だが,スズ石はいろいろに着色している。融点1127℃。比重6.95。固体でも電気伝導性があり,導電率には温度履歴性がある。水に不溶。酸,アルカリとも反応しにくいが,濃塩酸硫酸には溶ける。
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化学辞典 第2版 「酸化錫」の解説

酸化スズ
サンカスズ
tin oxide

】酸化スズ(Ⅱ):SnO(134.71).塩化スズ(Ⅱ)水溶液にアンモニア水,水酸化アルカリ水溶液などを加えて水酸化スズ(Ⅱ)を沈殿させ,これを空気に接しないようにして脱水すると得られる.黒~灰色の等軸晶系結晶.密度6.44 g cm-3.700 ℃ 以上で分解する.水,希アルカリ,アンモニア水に不溶,酸,アルカリに可溶.空気中で熱すると酸化スズ(Ⅳ)になる.水素気流中ではスズに還元される.スズ(Ⅱ)化合物の原料,ガラスのめっき,還元剤に用いられる.[CAS 21651-19-4]【】酸化スズ(Ⅳ):SnO2(150.70).二酸化スズともいう.天然にはスズ石として産出する.スズを空気中で強熱すると得られる.白色の粉末.密度6.95 g cm-3.融点1127 ℃.水,アルカリ,アンモニア水に不溶で,一般試薬と反応しにくいが,濃硫酸にはスズ(Ⅳ)塩となって溶ける.陶磁器のうわぐすり・着色剤,特殊ガラス(透明導電性ガラス),パテ,化粧品,触媒,ガスセンサー材料,金属スズの原料として用いられる.[CAS 18282-10-5]

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百科事典マイペディア 「酸化錫」の意味・わかりやすい解説

酸化スズ(錫)【さんかすず】

(1)酸化スズ(II)SnO。比重6.44。水に不溶の黒色粉末。酸,濃アルカリに可溶。シュウ酸第一スズSnC2O4を炭酸ガス気流中で熱してつくる。還元剤。(2)酸化スズ(IV)SnO2。比重6.95,融点1127℃,昇華点1850℃。無色粉末。水,希酸に不溶。温水酸化アルカリに徐々に溶ける。つや出し剤・乳白ガラスの製造に使用。天然にスズ石として産。メタスズ酸H2(/n)Sn(/n)O3(/n)を灼熱(しゃくねつ)してつくる。電子材料や触媒などの用途も。

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世界大百科事典(旧版)内の酸化錫の言及

【酸化スズ(酸化錫)】より

…酸化スズ(II)および酸化スズ(IV)がよく知られている。
[酸化スズ(II)]
 化学式SnO。…

【酸化スズ(酸化錫)】より

…酸化スズ(II)および酸化スズ(IV)がよく知られている。
[酸化スズ(II)]
 化学式SnO。…

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