化学者。兵庫県芦屋(あしや)市生まれ。1961年(昭和36)京都大学工学部卒業、1963年同大大学院修了、同大助手、1968年名古屋大学理学部助教授を経て、1972年名古屋大学教授。1969年にはアメリカのハーバード大学に留学し、E・J・コーリー(1990年ノーベル化学賞受賞)のもとで研究をしている。1998年(平成10)文化功労者、2000年文化勲章受章。2001年にはアメリカの有機化学分野の最高権威とされるロジャー・アダムス賞を日本人として初めて受賞した。また、同年、アメリカのK・バリー・シャープレス、ウィリアム・S・ノールズとともに「触媒による不斉合成(ふせいごうせい)反応の研究」(左右が反対の立体構造をもつ化学物質をつくりわける技術)の業績が評価されノーベル化学賞を受賞した。物質のつくりわけを可能とする「不斉触媒」に着目したのは1966年京大助手当時で、1980年には実用的な触媒の開発に成功している。2003年10月独立行政法人として新たに発足した理化学研究所の理事長に就任(2015年3月退任)。
[編集部]
日本の有機化学者.神戸に生まれる.京都大学へ進学して有機化学を学ぶ.修士課程修了後,すぐに助手になり,1967年博士号を取得.1966年はじめてシッフ塩基の銅錯体を用いて不斉合成を行うが,目的物の収率は10% 未満に過ぎなかった.1967年名古屋大学の助教授,1969年ハーバード大学へ留学しK.B. Sharpless(シャープレス)と出会う.1970年に帰国し,1972年名古屋大学教授となる.ハーバード大学滞在中から不斉水素化反応に興味を抱き,1980年にはBINAP(2,2′-bis(diphenylphosphino)-1,1′-binaphthyl)を利用した不斉触媒研究を発表した.1986年に開発したBINAPのルテニウム錯体が突破口となり,その後開発した種々の不斉触媒は,多くの医薬品や香料の生産に利用されている.キラル触媒による不斉水素化反応の研究により,2001年W.S. Knowles(ノーレス),Sharplessとともにノーベル化学賞を受賞した.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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