金本位制度の一形態。他の国が金貨本位または金地金本位(自国通貨と金貨または金地金とを一定の比率で通貨当局が自由に兌換(だかん)に応ずる)を採用していることを前提とし、その国の通貨に対する請求権すなわち金為替を自国の通貨発行準備とし、国内での金地金の兌換は行わず、またその輸出入も禁止し、対外取引のためには、中央銀行は一定の比率で自国通貨と金為替との交換に応ずる制度である。
1893年、銀本位国のインドがこの制度を採用したのを嚆矢(こうし)とし、その後フィリピン、パナマ、メキシコなどの銀本位国で採用されていた。第一次世界大戦後の1922年、ジェノバの国際会議で、金の節約のためにこの制度の採用が提言され、1925年イギリスの金本位復帰以後、ドイツ、ベルギー、イタリアなど多くの国が採用。しかし、1931年9月、おりからの金融恐慌によってイギリスが金本位制を離脱すると、金為替本位制度もしだいに衰退に向かった。
この制度の安定は、中心となる金本位国の対外収支の節度ある運営に依存する。その意味で、第二次世界大戦後の国際通貨基金(IMF)体制も米ドルを中心とした金為替本位制的性格をもっていたといえよう。
[原 信]
『R・ヌルクセ著、小島清・村野孝訳『国際通貨――20世紀の理論と現実』(1953・東洋経済新報社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…この場合の金貨や金地金は正貨と呼ばれた。さらに広義には,自国通貨と金との兌換が認められなくても,もし他国に金兌換が保証されている通貨(これを金為替という)がある場合,一定の交換比率によって,その金為替である他国通貨と自国通貨との交換性が保証され,かつその金為替の輸出入の自由とそれに結びついた通貨発行制度が保持されているならば,それは金為替本位制度gold exchange standardと呼ばれ,金本位制に含められる。この場合には,その国の通貨は直接に金との兌換はできないが,金為替である他国通貨を通して間接的に金兌換が保証されるからである。…
…国際通貨制度というとき,多くの人はその代表的なものとして国際金本位制度をあげる。それは現在の国際通貨制度の源流を求めていくとき国際金本位制に到達するからである。1944年7月アメリカのブレトン・ウッズに44ヵ国の代表が集まり,第2次大戦後の国際通貨制度の確立をめざして,いわゆるブレトン・ウッズ協定(ブレトン・ウッズ体制)に調印したが,その協定が示す国際通貨制度は金本位制の一種である金為替本位制であった。…
※「金為替本位制度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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