主要地方道本庄―
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
埼玉県児玉郡(こだまぐん)神川町(かみかわまち)二ノ宮に鎮座。天照大神(あまてらすおおみかみ)、素戔嗚尊(すさのおのみこと)のほかに日本武尊(やまとたけるのみこと)を配祀(はいし)する。社伝によれば、日本武尊が東征の帰途、先に伊勢(いせ)で倭姫命(やまとひめのみこと)から賜った火鑽金(ひきりがね)を御霊代(みたましろ)として当地の御室ヶ嶽(みむろがだけ)に鎮められ、あわせて天照大神、素戔嗚尊2柱を奉斎したという。862年(貞観4)神階従(じゅ)五位下に叙せられ、鎌倉時代には武蔵(むさし)児玉党の総鎮守として郡内一帯の武士団の厚い崇敬を受け、江戸幕府には朱印領30石を安堵(あんど)された。式内社。旧官幣中社。古来、本殿を構えず、背後の御室ヶ嶽を神奈備(かんなび)(神体山)とする拝殿だけを備え、山麓(さんろく)祭祀の原型を伝える点で、奈良県桜井の大神(おおみわ)神社と並び称される。11月23日の火鑽(ひきり)祭には懸税(かけぢから)神事として近隣9郷から稲穂(いなほ)の奉納がある。境内にある多宝塔は国指定重要文化財。
[薗田 稔]
埼玉県本庄市の旧神川町に鎮座。天照大神,素戔嗚(すさのお)尊,日本武(やまとたける)尊をまつる。社伝によれば,日本武尊が東征の帰途,伊勢で倭姫命より授かった火鑽金(ひきりがね)を御霊代として天照大神と素戔嗚尊を奉斎したのが当社のはじめという。《三代実録》にもその名が見え,《延喜式》には名神大社として見えている。当社は奈良県の大神(おおみわ)神社と同様,本殿を設けず,御室岳を神体山とし拝殿だけを備えた古い社殿形式として注目される。大祭は4月15日。この日は9郷からの奉幣がある。11月23日,火鑽祭。1月15日,筒粥神事。旧官幣中社。
執筆者:落合 偉洲
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…日本の農耕にかかわる信仰は古い歴史をもつが,信仰の対象を物的に明示する方法は,長い間自然の一部をそのまま神聖視する素朴な段階にとどまっており,それが建築という形態をとるのはかなりのちのことと考えられる。奈良県の大神(おおみわ)神社,埼玉県の金鑽(かなさな)神社などが現在でもそうであるように,祭神をまつるべき本殿がなく背後の山を神体としたものがあり,また社すなわち杜(もり)が神域を示すという理解は古代以来きわめて普遍的であった。人工的な工作物をもって神の宿るところとしたもっとも単純なものは,一本の独立した柱を地上に立てることであって,この場合一本の柱はそのまま杜の象徴にほかならない。…
※「金鑽神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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