長田秀雄(読み)ナガタヒデオ

デジタル大辞泉 「長田秀雄」の意味・読み・例文・類語

ながた‐ひでお〔‐ひでを〕【長田秀雄】

[1885~1949]詩人劇作家東京の生まれ。幹彦の兄。「明星」「スバル」に参加自由劇場発足とともに新劇運動に加わり、史劇で新分野を開いた。戯曲歓楽の鬼」「大仏開眼」など。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「長田秀雄」の意味・読み・例文・類語

ながた‐ひでお【長田秀雄】

劇作家、詩人。東京出身。幹彦の兄。はじめ「明星」「スバル」「屋上庭園」などに詩を発表。自由劇場創立と共に新劇運動に加わり、「歓楽の鬼」で劇作家としての地位を築いた。その後、多幕物の史劇の分野で新生面を開いた。著「飢渇」「大仏開眼」など。明治一八~昭和二四年(一八八五‐一九四九

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「長田秀雄」の意味・わかりやすい解説

長田秀雄 (ながたひでお)
生没年:1885-1949(明治18-昭和24)

劇作家,詩人。東京神田生れ。弟に小説家の幹彦がいる。医師の父の跡を継げずに,中学時代から詩作をはじめ,同級の木下杢太郎新詩社を経て,パンの会を作り,《スバル》《屋上庭園》に詩と戯曲を発表していたが,1910年発表の《歓楽の鬼》が自由劇場で上演され,劇作家の地位を築いた。イプセンの影響が顕著だが,15年にはチェーホフ的な味のある《飢渇》を発表,20年に5幕の大作史劇《大仏開眼》に仏師公麻呂と恋人葛城郎女(かつらぎのいらつめ)を主人公にした政治と芸術の葛藤を描き,好評を得た。芸術座新劇協会市村座に協力したが,34年に新協劇団幹事として参加,回想録《新劇の黎明》(1941)で知られるように,新劇界の長老として仰がれた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「長田秀雄」の意味・わかりやすい解説

長田秀雄【ながたひでお】

劇作家。幹彦の兄。東京生れ。中学時代の同級生木下杢太郎新詩社をへてパンの会を作り詩作したが,やがて戯曲を書き新劇運動に携わった。最初の戯曲《歓楽の鬼》は自由劇場で上演。ほかに史劇《大仏開眼》など。回想録《新劇の黎明》がある。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「長田秀雄」の意味・わかりやすい解説

長田秀雄
ながたひでお
(1885―1949)

詩人、劇作家。東京生まれ。幹彦(みきひこ)の兄。独協中学を経て明治大学に学ぶ。少年時代より詩作を好み、『明星』に詩を発表。1909年(明治42)木下杢太郎(もくたろう)、北原白秋(はくしゅう)と雑誌『屋上庭園』を創刊。イプセンの影響下に戯曲を書き、『歓楽の鬼』(1910)が自由劇場で上演され、劇作家として注目を浴びた。耽美(たんび)派から写実主義に転じたが、戯曲『飢渇(きかつ)』(1915)や文化史劇『大仏開眼(だいぶつかいげん)』(1920)が代表作。1920年代に市村座に入り、1934年(昭和9)には秋田雨雀(うじゃく)と新協劇団の顧問となり、新劇界の長老として重きをなした。

[藤木宏幸]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「長田秀雄」の意味・わかりやすい解説

長田秀雄
ながたひでお

[生]1885.5.13. 東京
[没]1949.5.5. 鎌倉
詩人,劇作家。長田幹彦の兄。独逸協会中学卒業後,『明星』に参加。 1909年木下杢太郎,北原白秋と詩誌『屋上庭園』を創刊。耽美的な詩で知られた。のち劇作に転じ,イプセンの影響の濃い『歓楽の鬼』 (1910) で劇作家としての地位を確立。ほかに長編史劇『大仏開眼』 (20) ,『栗山大膳』 (22) ,『石山開城記』 (23) など。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「長田秀雄」の解説

長田秀雄 ながた-ひでお

1885-1949 明治-昭和時代の劇作家,詩人。
明治18年5月13日生まれ。長田幹彦(みきひこ)の兄。「明星」「スバル」などに詩を発表。明治42年木下杢太郎(もくたろう)や北原白秋らと文芸誌「屋上庭園」を創刊。44年最初の戯曲「歓楽の鬼」が上演された。芸術座,市村座,新協劇団に属した。昭和24年5月5日死去。65歳。東京出身。明大中退。作品に「飢渇(きかつ)」「大仏開眼(かいげん)」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android