阿久津村(読み)あくつむら

日本歴史地名大系 「阿久津村」の解説

阿久津村
あくつむら

[現在地名]尾島町阿久津

尾島村元宿もとじゆくの東に位置し、南東岩松いわまつ耕地、北は同村字常木つねぎ耕地。東西にさかい小泉こいずみ往還が走る。往昔は亀岡かめおか村字軽浜かるはまの南、武蔵島むさしじま村の西に接して南北に長く、南は利根川をへだて武蔵榛沢はんざわ高島たかしま(現埼玉県深谷市)に面して当村の元地もとち(現荒久)が存在したが、元和年中(一六一五―二四)利根川大洪水により全戸岩松村の西域を譲り受け移住したという(明治二一年「郡村誌資料」)。旧村域元地を東西にはや川が貫流し、耕地の南東に築いた川除堤を四ヶ村(阿久津・亀岡・武蔵島・前島)堤という。


阿久津村
あくつむら

[現在地名]郡山市阿久津町

芹沢せりさわ村の南方、阿武隈川右岸の平地と丘陵に立地。応永一一年(一四〇四)頃のものと推定される国人一揆傘連判断簡(秋田藩家蔵白川文書)にみえる「阿久津 沙弥覚祐」は篠川公方のもとに結集した田村氏一族とみられる。永禄一一年(一五六八)七月吉日の熊野山新宮年貢帳(青山文書)に「六段 五百文 阿久津」とみえ、うち一〇〇文の地は河成とある。


阿久津村
あくつむら

[現在地名]柳津町柳津

東は山地、南の河岸段丘上は郷戸ごうど村、西は北流する只見ただみ川に面する野老沢ところざわ村、北は柳津村地続きで、南の郷戸原より北流する竜蔵庵りゆうぞうあん川が只見川に合流する。村中を伊北いほう街道が通り、村の南西に一里塚があり、二本木にほんぎと称する。安久津とも記される。かつては悪津と記し、寛永年中(一六六一―七三)阿久津と改め、南三町二〇間に竜蔵庵という一区がある(新編会津風土記)。文禄三年(一五九四)の蒲生領高目録に悪登とあり、高二六八石余。寛文五年(一六六五)の「稲河領牛沢組郷村万改帳」では本田高三三六石余・新田高六石余、免五ツ四分五厘余、家数一五(竜蔵二)、竈一七、男四七・女三一、馬三で、小物成に綿役・糠藁・足前・山役があり、ほかに役漆木九六〇本・役蝋二〇貫一六〇匁があり、「魚ハ万アルトイエドモトルコトヲエズ」と記される。


阿久津村
あくつむら

[現在地名]高崎市阿久津町

北東流するかぶら川がからす川に合流する辺りの、両川の段丘面に位置する。緑野みどの郡に属し、北は烏川を挟んで群馬郡倉賀野くらがの村・岩鼻いわはな村、南は木部きべ村で、境界には両村に字田端たばたがある。応永二四年(一四一七)二月九日付源憲経寄進状(写、蜷川親治氏所蔵文書)で、「山名郷阿久津村舞台田」が八幡宮三位宝印に寄進されている。

寛文郷帳では幕府領、田方五六三石余・畑方八〇六石余。江戸後期の御改革組合村高帳では一千三七四石余で、一八四石余が幕府領、家数一五、旗本京極領四五八石余・家数二八、同長谷川領四五八石余・家数三〇、同山田領二七三石余・家数一八。


阿久津村
あくつむら

[現在地名]新鶴村鶴野辺つるのべ

下野街道に沿い、村の南を佐賀瀬さかせ川が流れ、みや(鶴沼川)へ注ぐ。北と東は良田の広がる稲作地帯。悪戸・悪津とも書いたが、寛文年間(一六六一―七三)阿久津と改めたという(新編会津風土記)。佐賀瀬川は民家の屋根より高い天井川となっており、洪水の被害に悩まされた。西の湿地帯は段丘上にあり、水田への開拓は容易でなかったという(新鶴村誌)。南北に通じる牛沢うしざわ堰は佐賀瀬川の河底を地獄じごく樋で通した。文禄三年(一五九四)の蒲生領高目録に悪戸とあり、高二四三石余。


阿久津村
あくつむら

[現在地名]黒羽町黒羽田町くろばねたまち

西端を南流する那珂川に、北東から流れ下る松葉まつば川が合流する地点の河岸段丘上にある。東は前田まえた村、南は八塩やしお村、那珂川対岸は石井沢いしいさわ(黒羽向町)黒羽田町として城下の一部を構成する。天正一八年(一五九〇)大関氏が豊臣秀吉から与えられた所領のうちに阿久津一八二石二斗七升、「町之分」として一五三石一斗二升がみえる(「黒羽藩領知高書上」宇都宮大学附属図書館蔵)。以後黒羽藩領。元禄郷帳には「古黒羽」と注記され、かつて当村は前田村・堀之内ほりのうち村とともに黒羽村と称されていたとみられる。慶安郷帳では黒羽村は高八二一石余、田一六一石余・畑三六〇石で合計は合わない。


阿久津村
あくつむら

[現在地名]渋川市阿久津

吾妻あがつま川右岸沿いにあり、渋川村の北、金井かない村の東にあたる。元和五年(一六一九)安藤対馬守殿御領分高覚帳(東大史料編纂所蔵)では高崎藩領。高二一四石余で、田方九町三反・畑方九町八反余。元禄郷帳では幕府領。安政二年(一八五五)渋川村組合村柄書上帳(堀口文書)によると旗本保々継太郎領で、家数二五・人数一〇四、馬七。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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