陸軍軍人、政治家。石川県金沢生まれ。陸軍士官学校9期。陸軍大学校卒業後、日露戦争、シベリア出兵に従軍。参謀本部や陸軍省の要職を歴任。関東大震災のとき戒厳参謀長となる。宇垣閥に属し、浜口雄幸(はまぐちおさち)内閣では宇垣一成(うがきかずしげ)陸相の代理を務めたが、宇垣退役後は中間的立場をとった。1933年(昭和8)大将。1936年の二・二六事件では軍事参議官として決起将校寄りの態度をみせた。同年3月予備役。1939年8月組閣。日中戦争の早期解決、欧州大戦不介入を掲げたが、貿易省設置の失敗など弱体ぶりをさらけ出し、軍部の支持も失って5か月で総辞職した。1940年中国特派大使、1942年貴族院勅選議員、翼賛政治会総裁、1944年朝鮮総督などを歴任。敗戦後戦犯に指名されたが不起訴となる。海軍大将井上成美(いのうえしげよし)は義弟。
[小田部雄次]
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明治〜昭和期の陸軍大将,政治家 首相;大政翼賛政治会総裁。
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第2次世界大戦中陸軍に擁立されて首相などを歴任した軍人。石川県出身。陸軍士官学校(9期),陸軍大学校卒業。関東大震災当時参謀本部総務部長で,戒厳参謀長となるなど中央部の要職を経て,ロンドン条約問題当時陸軍次官で,宇垣一成陸相の病気のため陸相臨時代理となった。次いで大将となったが,二・二六事件で予備役。1939年8月平沼騏一郎内閣総辞職のあと首相となり,欧州戦争不介入を声明したが,国民の生活不安で代議士の退陣要求をうけ陸軍からも見捨てられて40年1月に退陣した。4月には特命全権大使となり汪兆銘政権と日華基本条約を結んだ。陸軍出身の重臣として木戸幸一内大臣(阿部の姻戚)の東条英機内閣推薦を支持。42年,翼賛選挙では翼賛政治体制協議会会長として推薦候補の人選にあたり,選挙後には翼賛政治会総裁となった。44年朝鮮総督。敗戦後連合国から戦犯に指名されたが不起訴。
執筆者:今井 清一
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1875.11.24~1953.9.7
大正・昭和期の陸軍軍人・政治家。石川県出身。陸軍大学校卒。陸軍省軍務局長などをへて1928年(昭和3)陸軍次官。宇垣一成陸相下で一時陸相臨時代理・軍事参議官をも務めるが,2・26事件後に予備役に編入された。39年平沼内閣のあとをうけて組閣,欧州大戦不介入を宣言し,日中戦争解決をめざしたが,短命に終わった。40年中国特派全権大使となり,汪兆銘(おうちょうめい)と日華基本条約を締結。42年翼賛政治会総裁。
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…しかし,彼らが二・二六事件の指導者として決起すると,今度は逆に事件の責任の追及と内部統制再建のための措置が粛軍の具体的内容とされた。陸軍中央部は事件鎮圧とともに特設軍法会議を設け,反乱軍指導者をはじめ民間の北一輝らをも死刑を主とする厳罰に処したが,この間,36年3,4月には,事件当時の軍事参議官林銑十郎,真崎甚三郎,荒木貞夫,阿部信行の4大将をはじめ,現役の大将10名中7名を予備役に編入するなど,8月の定期異動をも含めて3000名をこえる空前の将校人事異動を行い,事件の責任を明らかにするとともに,皇道派勢力の一掃をはかった。また寺内寿一陸相は,4月8日の師団長会議で,軍人個々の政治行動は軍人の本分にもとるとし,軍の政治行動は陸軍大臣を通じてのみ行うべきものと訓示して軍内統制の方向を示し,政府も5月の第69議会で不穏文書取締法を成立させて,いわゆる怪文書取締りを強化して軍内秩序を側面から支援する姿勢を示した。…
…1942年4月30日東条英機内閣によって実施された第21回衆議院議員総選挙の通称。東条内閣は総選挙にはじめて候補者推薦制度の導入を決定し,42年2月23日,軍部・大政翼賛会・財界・農業団体・貴衆両院・その他の代表33名を招き,元首相阿部信行陸軍大将を会長とする翼賛政治体制協議会(翼協)を結成させた。翼協は〈政事結社〉の届出をし,民間人による自発的運動という体裁をととのえるため,道府県単位の支部を結成し,地元の有力者742名を支部長と支部会員に任命するとともに,政府にかわって候補者の推薦と選挙運動を行った。…
※「阿部信行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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