集団の成員たちの間に共有される信念、価値観、慣行、感情などの総体のこと。集合意識と同じ意味で用いられることが多い。集合意識とはフランスの社会学者デュルケームによって提示された概念である。彼は集合意識を、個人意識に対して外在的で、かつ拘束力をもつ「行動あるいは思考の様式」であると定義した。そうした集合意識の存在を、デュルケームは「社会的事実」として取り扱わなければならないと主張する。それは超個人的な実在であって、単なる諸個人の総和によってではなくて、それらの化合によって形成される「システム」であるとみなされる。すなわち、集合意識は、一社会の通常の人々に共有された価値、信念、感情などの総体としての観念システムを形成し、それが個人の意識や行動を拘束するというのである。しかし、社会的事実としての集合意識は、個人にとって外在的で拘束的であるといっても、それはあくまでも客体的存在であって、意識し行動する主体はあくまでも個々の人間である。このような集合意識は、今日の社会学や人類学でいうところの「文化」の概念と同じであるといってよい。
以上のような集合意識の意味で集団意識を理解する場合が多いが、なおそれ以外に集団意識というとき、人々が同じ集団に所属し、かつその集団に一体化することによって、集団のメンバーが抱くところの集団帰属意識をいう場合がある。このような集団意識を強くもつことによって、集団メンバーは、個人の利害関心よりも集団の全体的立場を重要視し集団中心的に行動する。この場合、集団という枠組みのなかで前述の集合意識が人々の行動や思考を拘束するのである。したがって、集合意識は一般的概念であり、集団意識はそれの特定化された概念であるといいうる。
概して日本人は個人意識よりも集団意識が強い。愛社精神や愛校心などは集団意識の現れである。なお、一定の階級への所属意識をも集団意識であるとする場合がある。
[佐藤慶幸]
『E・デュルケーム著、田原音和訳『現代社会学大系2 社会分業論』(1971・青木書店)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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