デジタル大辞泉 「雲脚」の意味・読み・例文・類語
くも‐あし【雲脚/雲足】
2 低く垂れ下がった雨雲。
「窓硝子をあげようとする間もなく、すぐもう低い―が切れていた」〈里見弴・安城家の兄弟〉
3 雲形に曲がったり、雲形の装飾のある机や台の脚。
[類語]雲・雲行き・空模様・雲海・雲形・雲量
『下学集(かがくしゅう)』(1444年成立)に「雲脚」として「悪茶名也、茶ノ泡早く滅(キ)ヘ浮雲ノ脚ノ早ク過ギ去ルガ如シ」と記すこともあって、雲脚すなわち粗悪な抹茶(まっちゃ)とされてきた。しかし、最近では、「茶少ク湯多クバ即チ雲ノ脚散ズ、湯少ク茶多クバ即チ雲ノ脚聚マル」のように、もともと「雲脚」は茶を立てる際の茶と湯のバランスに関する用語で、茶の質を意味するものではないこと、中世の日記類でも、雲脚茶は、しばしば「所望(しょもう)」や「贈答」の対象となっており、また雲脚茶を用いた「順事茶会」が催されていること、などから、むしろ上級茶の一種と考えるべきではないかといわれている。しかし、ただ「上級茶の一種」というだけでは「雲脚茶」の説明としては不十分で、その位置づけは今後の課題。雲脚茶会が「地下(じげ)の男共済々(せいせい)相い交」って催されている(『看聞日記』応永24年閏5月14日)のは注目される。
[丹生谷哲一]
『亀井孝校『下学集』(1944・岩波文庫)』▽『張建立著『茶道と茶の湯』(2004・淡交社)』
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