雷獣(読み)ライジュウ

デジタル大辞泉 「雷獣」の意味・読み・例文・類語

らい‐じゅう〔‐ジウ〕【雷獣】

落雷とともに地上へ降り、人畜を殺傷したり、樹木を引き裂いたりするといわれる、想像上動物

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精選版 日本国語大辞典 「雷獣」の意味・読み・例文・類語

らい‐じゅう‥ジウ【雷獣】

  1. 〘 名詞 〙 想像上の怪獣。落雷とともに地上に落ちかみなりのような声を発し、樹木を裂き人畜を害するという。また、黄貂(きてん)異称深山にすみ、雷鳴の時村里に出るとされるところからいう。
    1. [初出の実例]「世俗に云ふ雷獣(ライジウ)と云者あり、雷気を禀て乗じ、雷落れば必ず其獣の爪の跡を見る」(出典:和蘭天説(1795))
    2. [その他の文献]〔山海経‐大荒東経〕

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改訂新版 世界大百科事典 「雷獣」の意味・わかりやすい解説

雷獣 (らいじゅう)

想像の動物の一つで,はげしい雷雨のとき空中を飛び,地に落ちて樹木を裂き人畜を害すると考えられた。中国から伝えられた思想らしく近世にはひろく信じられ,随筆や見聞録にその記事が多い。雷獣といわれる図画も少なくない。しかしながら,細部のイメージは見たという人々によってかなり異なり,四足獣で尾長く爪が鋭いこと以外は一致しない。樹木を裂く点で爪が必要と考えたのであろう。犬,猫,カワウソなどの姿に近いという点もほぼあっている。この獣の原型となった動物は,テンではなかったかと考えられている。四肢が短く爪が鋭く尾は長い。大木の洞や石垣,建物の隅などにすんでいるが,落雷に驚いて飛び出しあるいはその巣とした大木が裂けて死体が発見されるなどのことから,雷とともに空中から落ちたと誤認されたものとみられている。

 なお,中国では雷獣の語はすでに《山海経(せんがいきよう)》大荒東経にみえ,それによれば容貌は牛のごとくで蒼身,角はなく一本足であった。水に入ると風雨を呼びおこし,日月のような眼光を発する。その声はまるで雷であったという。名づけて夔(き)といったが,この獣の皮でつくった鼓は,500里の遠くまで聞こえ,天下を威圧したと伝える。
 →雷神
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デジタル大辞泉プラス 「雷獣」の解説

雷獣(らいじゅう)

日本の妖怪。雷とともに天から降りてくきて、落雷のあとに爪跡を残すとされる。東日本を中心に各地に広く伝承が残る。

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普及版 字通 「雷獣」の読み・字形・画数・意味

【雷獣】らいじゆう

雷神。

字通「雷」の項目を見る

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動植物名よみかた辞典 普及版 「雷獣」の解説

雷獣 (ライジュウ)

動物。想像上の動物

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世界大百科事典(旧版)内の雷獣の言及

【雷】より

…武器として石斧を利用しているが,この雷斧の信仰は世界各国に共通である。夕立の際に平素見なれぬ動物がまぎれ出ることが雷獣とか雷鳥とかいう考えを生み出したらしいが,アメリカ・インディアンの間では巨大な鳥が雷鳥として考えられ,そのはばたきによって雷鳴や電光が生ずると信ぜられている。 日本の雷神に関する絵や彫刻は古くから非常に多く残されている。…

※「雷獣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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