広義には、都市にある青年センター(都市型青年の家)などを含めて青年を主対象とする社会教育施設全体をさしたが、狭義には宿泊型の青少年教育施設をさした。1958年(昭和33)に、文部省(現文部科学省)が公立の野外教育施設と産業教育施設の補助を行う際にこの名称を用いたが、翌年富士山麓(さんろく)の御殿場(ごてんば)市に国立中央青年の家が設置されてから、団体宿泊訓練を通じて健全な青少年の育成を図るための機関と考えられるようになる。当初は、主として勤労青年の利用する施設として位置づけられていたが、1970年代に入るころから在学青年にも門戸を開き、その後高校生を中心とした在学青年の利用が大半を占めるようになる。高校生の場合、学校ぐるみの利用が多かった。
2001年(平成13)には、国立の施設は独立行政法人国立青年の家になった。2006年には国立少年自然の家などとともに独立行政法人国立青少年教育振興機構の運営する施設となり、国立青少年交流の家となって、青少年を対象に交流体験を中心とした教育プログラムの企画・実施を行っている。主催事業のほか、利用団体の計画に基づいて実施する受入れ事業がある。地域における青年団の自主的な集会・討議の場としては、青年会館と称するものが多い。国立少年自然の家も国立青少年自然の家へと変わっている。2008年度には、国立青少年交流の家は13、国立青少年自然の家は14あって、国立オリンピック記念青少年総合センターと合わせて487万人の利用があった。公立青少年教育施設は全国に約700ある。
[上杉孝實]
『全国青年の家協議会編『青年の家の現状と課題』各年版(全国青年の家協議会)』
〈団体宿泊訓練を通じて健全な青年の育成を図る〉(文部省設置法25条)ことを目的とする教育機関。1950年代後半の青年対策の一環としてとりあげられ,59年に法制化された。社会教育法が都道府県・市町村の青年の家を定め,文部省設置法が国立青年の家を定めている。93年現在,公立の宿泊型で約250施設,非宿泊型は約160施設を数える。そのねらいは,規律,友愛,奉仕精神,責任感,祖国愛の涵養などであって,他の社会教育施設とはその性格を異にしている。公民館,図書館,博物館などは,施設じたいは特定の教育目標をもたず,日常生活圏域内設置と住民の運営参加により地域ごとに個性的な教育文化センターであることが期待され,公民館をのぞいては県立・国立施設がおかれるが,その固有の性格である自主性と自律性がつらぬかれている。これに対して,青年の家の運営・事業のあり方については,国立施設が主導的機能を果たして指導者養成も担っている。画一化をさけて青年の希望と運営への参加を認める事例は,市町村段階でみられるが,今後はその方向での充実が期待される。なお,同様に宿泊を伴う教育機関として,国公立の〈少年自然の家〉がある(1993年現在約290)。
執筆者:島田 修一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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