北海道中南部、日高(ひだか)支庁(現、日高振興局)管内にあった旧町名(静内町(ちょう))。現在は日高郡新ひだか(しんひだか)町の北部を占める地域。旧静内町は1931年(昭和6)町制施行。2006年(平成18)、三石(みついし)郡三石町と合併して新ひだか町となる。地名はアイヌ語シュツ・ナイ(麓(ふもと)の川、祖母の沢などの意)の転訛(てんか)。旧町域は、静内川の流域が大半を占め、同河川の中・下流域以外は平地に乏しい。海岸沿いを国道235号が通じる。静内川河口の静内市街付近はシブチャリの地名で古くから知られたアイヌ居住地で、1669年(寛文9)のシャクシャインの戦いは松前藩に対する最後のアイヌの抵抗として有名。その砦跡(とりであと)であるチャシ跡は市街近くの海岸段丘上に残る。明治以後、流域に旧徳島藩の淡路島稲田家中の集団移住、開拓使牧場(家畜改良センター新冠牧場(にいかっぷぼくじょう)の前身)の開設により、稲作や軽種馬(競走馬)生産などの農業開発が進んだ。第二次世界大戦後の静内川上流の電源開発で、木材、窯業、食品などの製造業や商業も発展し、活気ある市街を形成した。日本軽種馬協会北海道市場は馬のせり市でにぎわう。静内産米は「万馬券」の銘柄で人気がある。シャクシャイン記念館、新ひだか町アイヌ民俗資料館などの文化施設のほか、新冠牧場内には約8キロメートルに及ぶ「二十間道路桜並木」がある。
[柏村一郎]
『『静内町史』(1975・静内町)』
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