中国、初唐の学者。字(あざな)は籀(ちゅう)。唐の太宗(たいそう)の貞観(じょうがん)年間、王朝によって行われた文化事業、すなわち書物の収集や校定、なかんずく『五経正義』の定本づくりを目的とした五経のテキストの校定、あるいは『隋書(ずいしょ)』の撰述(せんじゅつ)などに秘書監として参画した。主著の『漢書(かんじょ)』注は後漢の服虔(ふくけん)、応劭(おうしょう)以来の諸家の注釈を集成するとともに、祖父の顔之推(しすい)、とりわけ叔父の顔遊秦(ゆうしん)によって築かれた家学としての漢書学の成果を継承したものである。顔遊秦が大顔とよばれるのに対して小顔とよばれることがあるのはそのためである。そのほか『急就篇(きゅうしゅうへん)』の注、文字学、音韻学に関するノートというべき『匡謬正俗(きょうびゅうせいぞく)』などの著作がある。
[吉川忠夫 2016年1月19日]
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…以来経書の研究解釈が盛んに行われ,ことに後漢から魏晋南北朝時代にかけて多くの注およびその注を詳しくした疏が作られ(注疏),経書解釈の多様化がもたらされた。唐による天下統一が実現すると,経書解釈の統合整理の必要が求められ,太宗はまず顔師古に命じて五経の定本を作らせ,つぎに孔穎達(くようだつ)に命じて経書の標準的解釈を作らせ,4次にわたる更定を経て大成した。これが《五経正義》である。…
※「顔師古」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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