中国、南北朝時代末期の学者。字(あざな)は介(かい)。琅邪(ろうや)(山東省)の人。『顔氏家訓』2巻20編の著者として知られている。初め梁(りょう)の湘東王繹(しょうとうおうえき)(元帝、在位551〜554)に仕えて散騎侍郎(さんきじろう)となったが、北斉(ほくせい)に走り、文宣帝(在位550〜559)のもとで中書舎人(ちゅうしょしゃじん)、黄門侍郎となり、帝の厚い信頼を受けた。北斉が滅んだ後は北周に仕えて御史上士(ぎょしじょうし)となり、さらには隋(ずい)に召されて太子の学士となった。このように、梁・北斉・北周・隋と南北両勢力にまたがって各王朝に仕えた人物であったが、人格は誠実でまた学識に優れ、各王朝において帝の信任を受けた。その著『顔氏家訓』は、子孫への戒めとして人間の生き方を説いた家訓であるが、そのなかには「文章篇(へん)」のように、文学論を展開させた部分もある。伝記は『北斉書』『北史』にみられる。
[鈴木修次 2016年1月19日]
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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