出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
東京都北区の小丘陵。武蔵野台地東縁が荒川低地に接する崖上にあり,北東側直下にJR京浜東北線王子駅がある。地名は元亨年間(1321-24)に豪族豊島氏が居城の守護神として熊野の飛鳥明神をここに勧請したことに由来する。標高は27mにすぎないが,台地末端の急崖上から荒川低地を眼下に見下ろし,晴れた日には遠く筑波山や日光連山まで見通せた。徳川8代将軍吉宗は,当時旗本野間氏の所領であったこの地を石神井(しやくじい)川のすぐ北の王子権現に寄進し,1000本をこえる桜を植えて一般に公開したため,上野,向島と並ぶ桜の名所となり,紅葉の滝野川とともに江戸の郊外行楽地として親しまれた。1873年,東京府の五大公園の一つとなり,上野と並ぶ春の行楽地で,運動会などにも利用される。面積約4.4ha。
執筆者:井内 昇
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東京都北区南部、山手(やまのて)台地の末端にある丘。JR京浜東北線王子(おうじ)駅の西側にあり、急崖(きゅうがい)となっている。かつてこの地の豪族豊島氏(としまうじ)が居城鎮護のため元亨(げんこう)年間(1321~1324)飛鳥明神を祀(まつ)ったのが地名の由来。江戸時代、上野、向島(むこうじま)と並ぶサクラの名所(サクラは将軍徳川吉宗(よしむね)の寄進)であった。眺望もよく江戸市民に親しまれた。1873年(明治6)には太政官(だじょうかん)布告による東京府五大公園の一つとなる。北側に石神井川(しゃくじいがわ)(音無(おとなし)川)が曲流し、氾濫(はんらん)をたびたびおこしたので、山の下をトンネルで抜ける工事が行われ、1983年(昭和58)完成。現在、飛鳥山公園となっている。都電荒川線の飛鳥山停留場がある。
[沢田 清]
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