デジタル大辞泉
「鳴弦」の意味・読み・例文・類語
めい‐げん【鳴弦】
邪気を払うために、弓の弦を手で引き鳴らすこと。また、その人。天皇の入浴のときや貴人の誕生・病気の際などに広く行われた。つるうち。ゆみづるうち。
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めい‐げん【鳴弦】
- 〘 名詞 〙
- ① 弓弦(ゆづる)を鳴らすこと。また、鳴る弓弦。〔楊師道‐詠弓詩〕
- ② 悪魔や妖気、けがれを払うために、弓弦に矢をつがえないで、弦(つる)を引き鳴らすこと。また、その人。天皇の入浴・病気、皇子の誕生などのとき、その他臨機に行なわれた。特に宮中での産湯の御湯殿の鳴弦の儀は盛大に行なわれ、後には貴族・武家の間にも行なわれた。つるうち。ゆみづるうち。ゆみならし。
- [初出の実例]「御湯鳴弦五位十人、六位十人」(出典:御堂関白記‐寛弘五年(1008)九月一一日)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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鳴弦 (めいげん)
弓に矢をつがえずに,弓弦(ゆづる)だけを引いて放し,ビュンと鳴らすことによって,妖魔(ようま)を驚かせ退散させる呪法。弦打(つるうち)ともいう。弓矢の威徳による破邪の法で,後世になるとわざわざ高い音を響かせる引目(蟇目(ひきめ))という鏑矢(かぶらや)を用いて射る法も生じた。平安時代においては生誕儀礼としての湯殿始(ゆどのはじめ)の読書(とくしよ)鳴弦の儀として行われたのをはじめ,出産時,夜中の警護,不吉な場合,病気のおりなどに行われ,また天皇の日常の入浴に際しても行われた。湯殿始には皇子誕生の場合では弦打は五位10人,六位10人を例としたが,他の場合はもっと少なかった。《源氏物語》〈夕顔〉の巻の,夕顔が頓死するくだりで悪魔を払うために光源氏が弦打を命ずるところがある。
執筆者:中村 義雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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鳴弦
めいげん
弓に矢をつがえず、張った弦を手で強く引き鳴らす作法で、弦打(つるうち)ともいう。入浴、病気、出産、雷鳴などの際に、その発する音によって妖怪(ようかい)、悪魔を驚かし、邪気、穢(けがれ)を祓(はら)うものである。天皇の入浴の際には蔵人(くろうど)が御湯殿(おゆどの)の外に候(こう)して行い、滝口の武士の名対面(なだいめん)の際にも行われたが、皇子誕生の際の鳴弦はもっとも盛んであり、のちには貴族社会より波及して、鎌倉・室町幕府将軍家の子女誕生のおりなどにも行われた。
[杉本一樹]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「鳴弦」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の鳴弦の言及
【七夜】より
…宮中や公卿の古記録によると,[産養](うぶやしない)といって,出生の当日を初夜,3日目を三夜,5日目を五夜,7日目を七夜,9日目を九夜として饗饌(きようせん)を設け,生児の成長を祝ったが,のちには七夜のみを祝うようになった。また[鳴弦](めいげん)の儀といって,弓の弦を鳴らしてもののけをはらう儀式が行われた。民間でも宮崎県や屋久島,沖縄本島などで,七夜に矢を放って魔をはらう弓祝が行われている。…
※「鳴弦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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