デジタル大辞泉
「肉腫」の意味・読み・例文・類語
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にく‐しゅ【肉腫】
- 〘 名詞 〙 悪性腫瘍(しゅよう)の一つ。癌腫(がんしゅ)が発生当時に上皮性細胞が増殖した形であるのに対し、非上皮性の悪性腫瘍を総称していう。〔医語類聚(1872)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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肉腫(大腸悪性腫瘍)
(3)肉腫
消化管に発生する肉腫は消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST),平滑筋肉腫,血管肉腫,Kaposi肉腫などがあげられる.
GISTの細胞起源は,消化管筋層,特に筋間神経叢の神経節細胞の周囲に密に存在しているCajal介在細胞とされている.
診断は,生検の免疫組織学検査にてKITまたはCD34が陽性であればGISTと診断する.内視鏡下の生検は必ずしも容易ではなく,ある程度の大きさがあれば内視鏡的超音波ガイド下の針生検が有効な場合もある.
治療は,GISTと診断がつき,腫瘍が局所に限局していれば,必要最小限に腫瘍辺縁を確保しての外科的切除が標準治療である.リンパ節転移はまれなので,通常領域リンパ節郭清は行わないが,転移が疑われる場合は切除する.腹膜播種,肝転移,局所再発などにはイマチニブの経口投与を行う.イマチニブ耐性GISTにはスニチニブを投与する.
平滑筋肉腫は高齢者に多い.腫瘍径は大きく悪性度は高い.組織学的には核の多型性が目立ち,分裂像が多い.GISTとは免疫組織学検査にて鑑別できる.
血管肉腫では,異型のある紡錘形の内皮細胞が連結し,血管に似た管腔を形成している.血管の内皮細胞から発生すると考えられている.免疫組織学検査にてCD31,von Willebrand因子が陽性のことがある.
Kaposi肉腫は,肉眼的には隆起した多発性の赤または褐色調の粘膜内,または粘膜下層の結節である.潰瘍を伴うこともある.組織学的には,紡錘形の細胞と内皮に囲まれた血管腔とが混在した像を呈する.免疫組織学検査にてCD31,CD34が陽性である.また,PCRにてヒトヘルペスウイルス 8が証明される.[松山貴俊・杉原健一]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
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肉腫
にくしゅ
癌(がん)(癌腫)とともに悪性腫瘍(しゅよう)の代表である。名称のごとく、一般に肉塊のような外観を呈し、比較的軟らかいのが常である。組織学的にみると、肉腫は非上皮性要素の肉腫実質が、同じく非上皮性である間質の結合織と密に入り混じって認められ、上皮性腫瘍に属する癌にみられるような実質と間質との明瞭(めいりょう)な区別、つまり蜂巣(ほうそう)状(胞巣状)構造を示さないのが特徴である。また肉腫は癌に比べて、若年者に好発し、かつ血行性転移をおこしやすいなどの差異が指摘されている。
肉腫を分類的にみると、まったく未分化でいずれの非上皮性組織にも類似していない組織像を示す未分化肉腫あるいは単純肉腫と、線維組織や脂肪組織などの一定の非上皮性組織に類似した組織構造を呈する群とに分けられる。後者の群に、線維肉腫、脂肪肉腫、筋肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫(骨形成性肉腫)、管肉腫などが含まれる。筋肉腫には平滑筋肉腫と横紋筋肉腫とがあり、管肉腫には血管肉腫とリンパ管肉腫とがある。
[渡辺 裕]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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肉腫
にくしゅ
sarcoma
非上皮性組織から発生する悪性腫瘍の総称。すなわち,非上皮性の器官である心臓,脾臓,血管,骨髄,骨,筋肉,脳などに発生するものをいう。上皮性組織から発生する悪性腫瘍は癌腫といって肉腫とは区別される。肉腫の発生は一般に若い人に多く,癌腫の発生は中高年者に多い。また,成長度の速いことと,周囲組織の破壊性では,癌腫以上の悪性度を示すものがある。肉腫の転移は主として血行によって行われ,リンパを介して行われることはまれで,この点も癌腫と異なる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の肉腫の言及
【癌】より
…これに対し,筋肉,骨,血管,脂肪,繊維等は非上皮性組織である。上皮細胞由来の悪性腫瘍を癌腫carcinoma,非上皮細胞由来の悪性腫瘍を肉腫sarcomaと呼ぶ。神経系腫瘍や生殖細胞系腫瘍,また多胚葉性である奇形腫は,とくに癌腫,肉腫といわない。…
※「肉腫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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