利害関係者のことで,大学に関しては産業界,行政,NPO,大学への進学希望者とその保護者などが具体的に想定される。大学の社会的役割や責任に対する認識の高まりにより,大学とステークホルダーとの関係性が重要視されるようになった。2011年(平成23)4月から教育情報の公表が義務化されるなど,ステークホルダーに対する説明責任が大学に求められている。さらに,大学ポートレートの整備に関する議論の過程においても,ステークホルダーへの情報発信の強化がその意義として強調されている。
他方で,ステークホルダーは情報の一方的な受け手にとどまらない。たとえば,文部科学省は地域や分野に応じて大学間が相互に連携し,社会の要請に応える共同の教育・質保証システム構築の支援を目的として,2012年より大学間連携共同教育推進事業(日本)を展開している。同事業においては,ステークホルダーとの課題の共有や教育の実施,評価などが事業推進の主要な柱として掲げられている。また,大学のガバナンス改革が進行するなかで,大学経営に関わる審議機関や外部評価委員会などの構成員に産業界や行政関係者を登用し,ステークホルダーの意向を積極的に取り入れていこうとする動向も伺える。
著者: 橋場論
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